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両想いになったばかりの親友を巻き込んで異世界に召喚されました。彼女の超遠距離恋愛はどうなりますか?  作者: ゆうき けい


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現世 49

翌日の台風接近に伴い、武流たちは沖縄本島に一時避難した。

彼らに付いてきた照姫の二人の護衛とは、そこで別れた。全国各地に散らばる出雲衆に今回のクーデターの顛末を正しく伝えるためだ。

何と言っても、裏切ったのは、一族をまとめていた統領だ。しかも、次代の依り代に選ばれたのは長年仮想敵としていた伊勢一族の青年である。説得は困難と思われた。

「何の、裏切り者の末路は明らかじゃ、皆、思い知ろうぞ。」

自信たっぷりに言い放った照姫の言葉は、台風後に明らかになった。


数十年に一度と言われる暴風被害をもたらした台風が過ぎ去った後、出雲衆の本拠地の島は、突如現れた謎の島として、世間に知れ渡った。

元々、八咫鏡(やたのかがみ)の力によって島全体が隠蔽されていたのだ。鏡が持ち去られれば、隠蔽も解ける。それに加え、建築学上不可能と言われた構造物・空中巨大神殿を保持していたのも八咫鏡の力だった。ただでさえ、支えられない構造に台風の暴風が止めを刺した。何百メートルと続く階段は崩れ落ち、当然、その先の寝殿は地に落ちた。

中にいた者達の生死は不明だ。


そうして、台風一過の青空の元、再び訪れた黄泉平坂(よもつひらさか)の鍾乳洞のある島も、すっかり地形が変わっていた。何とか島に上陸する事は出来たものの、海に面した鍾乳洞の入口は天井が崩れ、塞がれてしまっている。


「ほう、これが、黄泉平坂鍾乳洞かや。まこと、その名にふさわしい所じゃのう。」

声は大和が抱く赤ん坊大の兎のぬいぐるみからしていた。


八咫鏡の欠片を探すミッションは、中止になってはいない。当初は、護衛二人に鏡=照姫を預けるつもりでいたが、当の本人が抵抗した。鍾乳洞探索に同行させろ、と言うのである。護衛達も、出雲衆の秘宝・祭神を連れ歩くなど畏れ多い、守り切る自信がない、と固辞した。大和と武流は、割れても欠けても気にしないと不敬極まりない態度を貫いており、それでは、持って行こう、となったのだ。しかし、流石に美女の浮かぶ鏡をそのまま持ち歩く訳にはいかず、最初はただ鞄に突っ込むつもりだったのだが、そこでも駄々をこねた照姫により、ぬいぐるみの中に入れられることになった。

しかも、大和が抱っこしていれば、武流たちとも直接会話が可能と言う謎仕様だ。


「これは良いのぅ。この事が早う分かっておれば、妾ももっと色々な所に行けたのに。

これ、大和、もそっと海に近づくのじゃ。おお!何か動いておるぞ!あれは、魚かぇ?何と色鮮やかな!」

兎のぬいぐるみに翻弄される大和の横で、武流は黙々と、飛行艇から荷物を下ろしている。


「天井が崩れて入口がふさがれてるが、どこか別の所に新しい入口が開いたかもしれない。島の奥を調べてみよう。」

そう言って、台風の間に作成していた、黄泉平坂鍾乳洞内部の予想図と島の地図を取り出した。それには、出雲衆が集めたレーダーや磁場、電磁場等の探索機器を利用して、島の地下空間を調べた結果が反映されている。


「島の西側の被害が大きいから、そちら側の地盤が弱くなっている可能性がある。」

「大潮と満潮が重なって、想像以上の高さまで波が届いたのかもしれないね。」

「土砂や木々が倒れている所を中心に調べてみよう。」

リュックサックに水や食料、着替えに医療用品、それらを詰め込んでいく武流に、先日の焦りは感じられなかった。大和も同様に山登りの準備を整える。


「照姫とギィは、ここで待ってて。」

笑顔で兎のぬいぐるみをギュンター王子に渡し、大和と武流は木々の間に消えた。


それをギュンター王子は複雑な思いで見送る。彼らの気配が完全に山中に消えた後、彼はぬいぐるみを抱えたまま、鍾乳洞の崩れた入口の前に移動した。

〈魔素が強い。これなら魔法が使えるかもしれない。〉


【炎球】


言葉と同時に、ギュンター王子の右手の上に野球のボール程の大きさの炎の塊が生まれた。




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