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「君はいつも泣いてるね。」
笑いながら言うボロボロの彼女にかける言葉なんて見つからなかった。
「あぁ、そうかもな。」
それしか返せなかった、そう泣きながら言ったあの時の僕は君にとって、残酷に見えただろうか?君に近寄ることも出来ない僕を恨んだだろうか。
「ー、」
君の名前を叫んだ僕。その声は届いたのだろうか。
僕達の町には言い伝えがある。それはなんとも残酷な言い伝えだった。昔この村山神様に守られていたという。その山神様はとても優しく、とても力のあるものだった。畑を潤し、雨が降らなく、米もならないと嘆いている時は山神様が雨を降らしてくださった。そうして村は安泰だと村人達が安心しきっていたその時だった。村に今まで見た事のないような大雨が降ってきた。水路は氾濫し、山は崩れ、そのような日が何日も続いた。村人達は自分たちの生活を守ることに必死だった。そうして食料の備蓄もなくなり、生活もままならない時にある村人がこう言った。
「山神様に頼めば何とかしてくれるのではないか?」
と。そんな都合のいいことあるわけないと言う人もいれば、頼むだけならいいだろうと言う人もいた。村人達は話し合い結果、山神様に頼みに行く事となった。今まで何とかしてくれたんだ、頼めばきっと何とかしてくれる。そんな甘い期待を胸に山神様の住む山の祠へと足を運んだ。