ヤブ医者を騙る名医の論文

もしも副題を述べるならそれは

ヤブ医者を騙る名医だろうか

謙遜を越えて事実の羅列を挙げる医者

机の上に開かれた論文の数々

全てのページに書かれた独自の言語

床に散らばったままの錠剤容器

裸足の踏み場もない注射の針

新たなる論文はそこにはない

あるとすれば彼の頭の中だけだ

彼の頭の中の森林を伐採して

何処かにある種が埋まった地を探し

何時芽が出るかも分からない論文を

ヤブ医者でしかない彼の論文を

ご立派な副題を付けてでも待つしかない