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試作品  作者: 明け弁
3/4

発見

  転生してから1週間。

  俺やその周りについていくつか分かったことがある。


  俺はノア・ロドリゲスという名前で、ロドリゲス家の次男だ。

  五歳の兄リアムと三歳の姉エマ、母親のオリビアと父親であるジェームズの五人家族である。

  ロドリゲス家は名門貴族で、かなりの権力があるらしい。

  正直貴族の礼儀作法やダンスパーティーなんてしたくもないが、食料に困るような家ではないのでそれよりは良いのかもしれない。


  そして今自分がいる場所についてだ。

 俺は今、サンテ大陸のケコーザ王国にいる。


  うん……………異世界だね。ここ。

  転生って分かった時思ったよ?

  これ異世界転生ルートじゃね?って。


  思い当たる節はいくつかあったよ。

  まず俺のいる家が中世ヨーロッパの宮殿かって感じだからね。

 あと、見たところ文明レベルも中世ぐらいだし。


  ただ、決め手はやっぱり魔法だな。

  部屋の外で誰かが「魔法が〜」って言ってた時にはもう悟ったよ。

  ここが地球ではないと。


  ここで疑問だったのは、俺が会話を聞き取れるということだ。

 俺は1週間で異世界語をマスターできるほどの脳ミソを持っていないし、ましてやここが日本でないことくらい重々承知している。


  ではなぜだろう。

  それを、母が俺の隣に置いていった本を見て理解した。



  その本は日本語とは全く異なる言語で書かれていた。

  しかし、なぜか俺はその言葉を見て瞬時に意味を理解出来たのだ。

  これはもしや、、、!?




  転生特典的なやつか!?


 もう、そうとしか考えられん。

  それ以外に何があるというのだ。

  これは言わば、転生者に与えられるデフォルトのスキルみたいなものだ。

  いやぁ〜ありがたい。

  言語学習の手間が省けるのは本当にありがたい。

  なにせ、前世では高校での英語の成績はズタボロだったのだから。

  どんな優秀な塾講師の授業を聞いても、どんなテキストで学習しても微塵も成長しなかった。

  他言語の習得は死んでも無理だとしみじみ思った。


  しかし!

  今の俺には自動翻訳機能があるのだ!

  どんな長文でもかかってこい!!


  と思っていたのだが、あることに気がついた。


  聞き取れはするけど、喋れないじゃん。


  いくら喋ろうと思っても、口が赤ちゃんなのでまともな発音が出来ない。

  まあでも、一般的な乳児もそうか。

  ここで俺がいきなり、

「おはようございます、お母様。」

  と、報道アナウンサー並の滑舌で話し始めたらそれはそれで恐怖を覚えるだろう。

  という訳で喋る練習も急ぐ必要はなさそうだ。


  そこであることを思い出した。

  この家には膨大な量の本があるのだ。


 一度母が俺を抱き抱えて本のある部屋に行ったことがある。

  そこは図書館かと思うくらい夥しい数の本が並んでおり、流石は貴族様だと感心してしまった。


  きっとあそこには、魔法に関する本も沢山あるだろう。

  一刻も早く魔導書たるものを読まなければ。


  ただし残念ながら今の俺は、身体を思うように動かせずベッドから出ることすらままならない。

  とすると、現在の最重要ミッションはこれだろう。



  俺はその日からハイハイの特訓を始めた。




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