見せしめ
例のペロペロ小僧の一件で、肯定否定問わず「見せしめ」という言葉が散見されます。要は企業が悪質なイタズラを働いた一般庶民に対して人生終わるくらいの賠償請求するのは見せしめの意味合いもある、と。
見せしめはいかがなものかという意見もあれば見せしめは必要との意見も。ただ個人的に見せしめにあたるのかという違和感が自分にはあるのですけどね。いや、本当にどうでもいい話なのですけど。
自分的に一番分かりやすい見せしめといえば歴史モノ作品でまま見られる市中引き回し、さらし首などがそうでしょうか。体制に逆らう奴はこうなるぞと暗に庶民に脅しをかけるわけですな。ただ創作物で見られるように頻繁に行われてたのかまでは知らないのですが。他にも有名ドコロでいえば石川五右衛門の釜ゆでの刑でしょうか。これなんかは史実だし非常に分かりやすい見せしめです。
が、逆にこれが石川五右衛門を歴史的庶民のヒーローにしてしまうんだから見せしめが逆効果になる場合も少なからずあるような気はします。
海外ではギロチン刑なんかもこれにあたるんではないでしょうか。本来は見せしめの意味合いはなかったようですが。
実際は首を切り落とす死刑執行人の負担とやりそこなう事故も多々あったので、機械的な処刑法を導入した結果、ギロチン刑がショー的な意味合いを帯びていったというのは有名な話。ある意味、今回のペロペロ小僧への企業の対応が見世物化してしまっているような。ただそれもギャラリーが勝手に盛り上がってるだけで被害を受けた企業が意図して見世物にしてるわけでもないんですけどね。
言ってしまえば企業はただ受けた損失の一部分でもいいから賠償しろと言ってるだけ。訴えとしては至極まっとうです。請求額が妥当か否かは個人によって受け止め方は様々でしょう。
そもそも小僧の顔が全国に晒されたのは本人がネットに上げたからであって、名前や住所が特定されたのも一部の人間が勝手にやったことでしょう。被害を受けた企業はなんもやってません。そんなリンチでもしたら裁判で不利になるのは分かりきってます。恐らく企業は全従業員にリンチに走るなと厳命していたのでしょう。ま、自分が従業員なら構わずリンチに行ってたでしょうけど。
それはともかく、見せしめ肯定派の方々は「模倣犯の抑止力のためにも」という意味合いで見せしめは必要だと考えておられるようです。自分は個人的にはそうは思いませんけどね。
一時期流行ったバイトテロなんかでも企業から人生一発アウトの賠償請求されたとかいう話はあんまり聞きませんが、そいつらはその後ほぼ人生終わったような状態だというのはネットでちょいと検索すればすぐ分かります。それなのにまだ迷惑動画を上げる連中は跡を絶たない。たぶん今回のペロペロ小僧に十数億円の賠償が請求され、それが認められたとしても模倣犯はなくならない、6,700万円でも抑止力にはならないというのが自分の個人的な予想です。それはたぶん企業にしても同じ考えだと思います。だからいま飲食業を抱える企業は客に紛れたテロ行為をいかに防ぐかを模索してる段階なのだと思います。それもやらない企業なら上場企業にまでなるわけがありません。
企業が小僧に対して賠償請求するのは当然のことだし、別に見せしめの意図などないでしょう。6,700万円が庶民には高額だからそう見えるだけであって。
でも、それを見せしめと捉える人が一部なりともいるってことは、やっぱり迷惑行為を働く連中に見せしめ的な制裁を加えてやりてえ、って、心理が働いているのでしょうね。
その気持ちは分かるけど、その主張が結局は加害者を利するだけって事実に気付く人は……たぶんネットにカキコったりはしないのでしょうね。
勝手なことを言うのは外野と相場が決まってます。




