変地獄
芥川の作品10本挙げろと言われればまあ大体ランクインするのが地獄変でしょうか。ありきたりな題材でごめんなさい。
そんなメジャーな作品なのに実は自分はこの作品が恥ずかしながらよく分かりません。というかほとんど記憶に残ってません。妙に気になったので改めて読んだってだけの話です。……が、このトシになってもやっぱり分かりませんでした。いや、自分の頭が悪いってことは分かってるんですけどね。記憶に残らない理由も分かりました。よく分からない作品なら憶えてられないのも当然かなと。
で、理解するためにそのテのサイトも巡ってはみたのですが……やっぱり納得できる解説は見当たりませんでした。ビブリオな人に笑われるのは覚悟のうえですが、どうにもストーリー、人物の心情に整合性が感じられないんですよねえ。
いやいや、語り部を信用してはいけないってのは多くのサイトが説明してます。それでもなお理解しかねるというか。そもそもなんで殿様は絵師に地獄変の屏風を発注したのか、その動機からして謎です。
また絵師も、何のために殿様にあんな注文付けたのか。あれ読んだら大体「あ、これ娘死ぬフラグや」って気付きます。
殿様が娘殺したい動機らしきものもあるにはあります。しかし殺すほどのもんなのか。殺すにしてもそんな手の込んだ手段取る必要性があるのか、アホな自分は首を傾げてしまうのです。
あるいは娘が殿様の子を妊娠してしまったとか。それならまあ謀殺の説明はつきそうです……が、やっぱり手が込みすぎてるうえ確率が低いというか。
そもそも屏風を発注したのが娘を殺す算段だったとしたら、絵師が思惑通りに動いてくれなければただ屏風を発注しただけです。絵師もなぜそんな異常な注文をしたのか。頭のイカれた奴の行動を予測するのは困難です。
殿と絵師が最初からグルだったとすれば説明つかなくもありませんが、それにしてもわざわざ屏風発注する必要はないかなと。しかもこの二人は共謀できそうにない間柄というのは作中で説明されてます。
ま、ミステリでもないんだからそこに整合性を求めるような作品でもないのかも。芥川は人間の狂気とか、狂気の美学みたいなもんを描きたかっただけで、ストーリー性とかは割とどうでもよかったのかも。
そう割り切って読むにしても、やっぱり無理があるというか。もう少し腑に落ちる材料を提示していただければ自分でも理解できて楽しめる作品にはなりそうなんですけどねえ。
まあそれが理解できるんなら自分ももうちょっと面白い小説書けるっちゅーねん。




