怖い映画
本当に怖い、ってのはああいう映画を言うんだろうな。いま思い出すと背筋が寒くなります。子供の頃、よくあんな怖い映画を面白がって見てたもんだと感心します。ま、映画の本質もよく分からないガキだったからと言ってしまえばそれまでなのですが。
何が怖いって、超メジャーなSF映画「猿の惑星」 いや、SFのカテゴリに入るのかはよく分かんないのですが。それにしたって怖い。下手なホラーなんか目じゃありません。
今見ると大したことはないんだけど、猿のメーキャップは当時は超リアルだったし、猿と人間が逆転するストーリーは分かりやすく、面白くもあります。当然、放送のあった翌日はクラスの話題を独占。にわか猿の惑星マニア共が猿のように語ってましたっけ。もちろん、自分もその一人。
しかし大人になった現在、あの映画を超える恐怖映画を自分はまだ見ておりません。
猿に支配された地球にも、旧世代の人間が超能力者になって生き残っていました。そして彼らは猿から地球の支配権を奪い返すべく、旧文明の残した核ミサイルを逆転の切り札として、そしてご神体として崇めていました。一発で地球を破壊するミサイルを。
結局、ミサイル基地まで猿の軍団の侵攻を許し、旧人類は皆殺し。発射の阻止を図った主人公ら宇宙船クルーも猿に追い詰められ、みんな死んじまえとミサイルの発射ボタンを押し、地球は消滅という救いのないラストでした。これがSF的に正しいかは自分には分かりません。が、面白ければどうでもいいことです。
そしていま現在、その映画が予言したかのような光景が現出してます。どこかの国で弾道弾がパレードの主役を張り、その演出をした独裁者や首脳、そして国民がまるでご神体のように大量殺戮兵器を崇め奉ってます。どいつもこいつも猿に見えます。
あの映画で猿の指導者が言ってました。
「神は人間を選んだために失敗した。だから我々猿を選んだ。我々猿は神に選ばれたのだ」
なにぶん昔の記憶なのでかなり違うかとも思われます。が、そのような意味だったと思います。あの国には信仰はないようですが、狂信に似た愛国心はあるように思えます。どちらも大差はないのでしょう。
そしてあの国の挑発に乗り、ミサイル防衛を真剣に論じなければならない国も、あの国によって下等な猿に落とされてるのでしょう。いや、いずれ同じ種族なら違う必要などありません。和解するより憎しみ合い殺し合う方がずっと容易ですから。自分もそうです。
所詮神にとって人間など、縄張り争う猿山の猿に過ぎないのでしょう。こんなこと考えてる自分自身も。




