俺のバトル
以前ここで記憶にも残ってないと、割と辛辣な評をした映画、バトルシップが放送されたのでリベンジのつもりで視聴。
あれから数年経過し、自分もそれなりにトシ食って物の見方も若干変わってるだろうし、人間的にも少しは丸くなったと思うのでまた違った感想になるかも、との希望的観測のもとに結構マジメに視聴。間違ってもながら視聴ではないことを明記しておきます。
で、その割とマジメな態度で臨んだ再視聴でしたが……おんなじや。昔見たのと大差ない印象や。違うのはまだ記憶に残ってるってところ。でもこれも来年には多分全部忘れてそうなほどうっすい内容。ここまで薄っぺらいと逆に凄いんじゃないかと思えるほどの薄さ。一流板前の桂むきを彷彿とさせます。
ちなみに自分は決してA野T信が嫌いなわけではありません。実力派俳優と素直に認めてますし、ハリウッド進出して然るべき演技力の持ち主と思ってます。その実力派俳優が大根に見えてしまう脅威の演出。映画とは、演技とは一体どういうものなのか、ろくすっぽ知りもしないド素人の自分にも考えさせられる深い作品と言えます。ハリウッドって、日本人俳優になんか恨みでもあるんでしょうか?
なんで記憶に残らなかったのか。あの当時はまだ若かったとか、忙しかったのかもとか、ながら視聴だったのかもとか、いろいろ弁護できる材料は揃えてたんです。が、今回改めて見て、やっぱり記憶に残んない薄い映画だと再認識させられた次第。
カネもかかってそうだしそれなりに気合の入った映画というのも分かります。多少、設定やストーリーに無理はあるけど、そこらへんの作劇上の都合が許容できないわけでもありません。それが許容できないならピクセルも蛇拳もターミネーターも同列に扱いますし、マイフェイバリット映画であるバトルランナーも評価しないはずです。
そういうことではなくって、この映画がダメなのは過去の名作を無節操にいろいろパクってるって点でしょうか。いや、自分はパクリ大好きなんだけど、この映画は一貫性のないパクリなんですよねえ。
海洋バトルと宇宙人侵攻モノ、これにパニックの要素がメインの売りではあるんでしょうけど……なにもトップガンや愛と青春の旅立ちまでパクる必要ないでしょ。もういろいろ欲張りすぎ。クライマックスの退役軍人が現れるシーンはアルマゲドンのテーマが流れてても違和感ない見事なパクリっぷり。これがギャグだったら諸手を上げて評価するんだけど、制作の態度はいたってマジメだしなあ……
同ジャンルの映画としてはロサンゼルス決戦の方が百倍面白いです。2時間という限られた尺で観客を満足させようと思ったらそりゃ選択と集中が必要でしょ。ロサンゼルス決戦が面白いのは宇宙人とのバトル一点突破な作りだからでしょう。
が、バトルシップみたくあれこれつまみ食いされるとどこを見ればいいのかよく分からず。逆に2時間が異様に長く感じてしまうから不思議です。見ていて「え? まだ終わんないの?」とか思ってしまったほどです。その時点でもうほとんど見るのやめようかと思ったけど我慢して視聴。
するとなんとエンディングが続編を予感させるありがちなエンド。これは記憶に全くなかったので昔見た時もどうやら途中で見るのやめてたようです。
それ考えるとあの当時より自分はちょっと、いや、かなりの忍耐力を身につけていたと知り、ちょっと嬉しくなったという感想を総評に代えさせていただきます。
そういえばロサンゼル決戦って「海軍クソったれ」とかいう陸軍の伝統フレーズらしいけど、それをやたら連呼してましたが、もしかしてバトルシップに対する当てこすりだったんじゃないのかというのは深読みのしすぎでしょうか?
「海軍クソったれ! 海軍クソったれ! バトルシップクソったれ!」 ……もうやめとこう……
 




