ローカルパワー
久しぶりにジャッキーチェンの蛇拳を見ました。子供の頃に見たってのも大きいと思うけど、大人になった今見ても十分面白い。難しいこと考えずに安心して楽しめる勧善懲悪娯楽活劇。今さら自分ごときが言うまでもないのでしょうけど。
このシリーズで言えば酔拳がナンバーワンの評価で異論はないのでしょうけど、蛇拳も決して後れはありません。むしろ個人的にはこちらを評価したい。
基本コミカル時にはシリアス。見ていて楽しくなるアクション。中ボス格の対決も見ごたえあり。あんなアクションできる人ってまだいるんだろうか? 主人公が短期間で強くなるってご都合はあるものの、2時間映画の枠内では作劇の都合の範囲内でしょ。一方、酔拳の主人公は元々強くて、あとは本人のやる気と奥義の伝授で強くなってるのであまり無理がありません。また、酔拳は熱血だけどだらしないという等身大の青年であるのに対して蛇拳はマジメな性格なのがちょっと地味ってとこなのでしょうか。
が、残念なことにこの一連のシリーズの後のジャッキー映画って、あんまりぱっとしません。あくまで個人的に。
ポリス・ストーリーやプロジェクトAなど文句なく面白いんだけど、個人的な評価では一歩も二歩も後れます。それよりもサモハンのデブゴンシリーズや福星シリーズの方が面白いです。
酔拳、蛇拳のシリーズにはなんというか、アジアのローカルパワーで世界の映画シーンに立ち向かおうという気概のようなものが見えて、それが判官贔屓に繋がってるのかもしれません。それは否定はしません。でも、判官贔屓であれなんであれ、映画が娯楽作品である以上、それも評価の材料に、自分は問題なく入れます。
が、その後のジャッキー映画にはそういう反骨精神があまり見られません。脱亜入欧の意識があったのかも。映画なんてそんなフィルター通して見るもんじゃないというのは分かっちゃいるのですが。
アクションやストーリー性は文句なくアップしてるのは分かります。命懸けのスタントやってるのも知ってます。でも、自分は命懸けのスタント見たいわけでもないのです。このへんは個人の意見です。スタント好きな人ならあちらが上かもしれません。でも、面白さでは自分は初期のシリーズを推します。
ただ、クリエイターは常に新しいものにチャレンジしたがるものだし、限界に挑むものでもあります。ジャッキーが初期のシリーズを続けてたら偉大なるマンネリにしかなり得なかったでしょう。それがいいことかどうかも自分には分かりません。
でも自分は初期シリーズの方が素直に面白いと思うし、ジャッキーがハリウッドに移籍したあとの作品はさらに評価が下です。それらの作品が放送されたとしてもあまり積極的に見たいとは思いません。面白いけど、その映画でしか味わえない魅力をあまり感じないのですね。最近の中国映画なんかと一緒。
カネや技術を贅沢に投入した大作級にせよ、CGアニメーションにせよ、ものすごく進化して一見、ハリウッド映画と見紛うほどです。でもそれだったらハリウッドの映画見ればいい。そもそもファミリー層向けハリウッドの大作級映画のターゲットから自分は外れてるし。
酔拳、蛇拳のように、あの当時の中国(香港かも)でしか作れない映画でもないからなのでしょう。
そういえば笑拳ってのもあったと思うけど、最近はとんと見ません。なにか問題表現でもあったのだろうか……




