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信玄の厠  作者: 厠 達三
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愛国心

 親を選べないのと同様に、人に生まれる国を選ぶ権利はありません。親には多少なくもないけど、それだってある程度の社会的地位とか財力がなければ無理な話。市井の人間に生きてゆく国家を選ぶ権利なんて実質無いんでしょう。

 民主主義国家に生まれるか、王政国家、軍事国家、独裁国家、どんな国に生まれるかはもう運次第。その国に生まれ落ちた時点でその人の一生はほぼ決まってしまうのでしょう。

 愛国教育したがる政治家もいるようですが、愛国心なんて国の風土や文化に対して自然と抱くもので、時の政府が国民に対して教育するもんでもないでしょ。それはただの洗脳でありナショナリズム以外の何物でもありません。個人的に。


 かくいう自分にしたってこの国のあり方が気に入ってるってわけではないけども、周辺の国と比較すればまあまあ、幸せな方なのかなって思います。いや、客観的に見るとまあまあどころか、神クラスの強運の持ち主なのかも。


 軍隊はないし、徴兵制もない。多分自分が銃器を手にして訓練することも一生ないんでしょう。それはそれでとても幸せなこととも思います。余所の国の人にすればずるいと言いたくなるかもしれません。が、是非はともかく紛争や戦争のある日常でしか生きがいを得られないという人も確実に存在します。そういう人がこの国に生を受けたら、一生の生き地獄を味わうことになるのでしょう。おっと、話が逸れた。


 しかし、この軍隊もない幸せな国がどこかの独裁軍事国家にミサイルでも突き付けられてその国の支配下に明日、置かれることになるとすればどうなのでしょう。もちろん現在の世界情勢ではそんなことにはならんのでしょうけど、世の中どうなるかは分かりません。ありえなくてもその前提でシミュレートします。


 考えるまでもなく承服できません。誰だってそうでしょう。そんな現実を受け入れられる国民なんて一人としていないでしょう。いや、もしかするといるかもしれんけど。

 もしこの国の政府がその恫喝に屈して独裁国家の支配下に入るとなると、抵抗する市民団体もあるでしょう。時に火器を用いる場合もあるかもしれません。その場合、自分は何を大義とするのか。この国の仕組みや、政府を守りたいってわけではないのでしょう。守りたいのは今までの日常とか、生活のためのシステムです。決して愛国心といった立派なものではないはずです。が、そもそも自分がその抵抗運動に参加できるかも未知数です。嫌だなと思っても、ことなかれ主義で独裁国家の命令に従う可能性の方がずっと高いです。


 できれば国外に逃亡したいですけどね。申し訳ないけど自分には愛国心とか土地を守りたいとかいった志もありません。周辺の、できれば安全な国への移住できますよ、ってな救済措置があればそれに乗っかると思います。抵抗運動はできれば勘弁して欲しい。非国民と後ろ指を指されたとしても。


 で、逃げた先の国家に徴兵制でもあって、移住者に兵役を課されるとすれば、仕方ないけど従うほかはないのでしょう。その国に住まわせてもらってるいじょう、その国の制度に従う義務があります。この世の楽園と聞いて移住した先がこの世の地獄だったとしても、それはその選択をした自分自身に大きな責任があります。


 どうせ移住できるんならヨーロッパの優雅な都市部にでもしたいですけど、そこはそこなりに負わなきゃいけないリスクや負担もあるんでしょう。

 国家が国民を無条件に従わせるのではなく、国民が国家を自由に選択できる世界になったとすれば自分は……やっぱり日本を選ぶでしょうねえ。


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