自己責任?
アメリカでは黒人差別に端を発したデモからの暴動が連日ニュースで取り沙汰されてます。あの大統領の施政下じゃさもありなんといった感もありますが、まあ海の向こうの余所の国の事情にまで通じてる国際派でもないのでなんとも言いようがありません。でも、この話に引っかかって元IT会社社長が言った言葉だったと思うけど、またぞろ貧困は自己責任という言説を頻繁に耳にします。もちろん、否定的なニュアンスですが。
その気持ちも分かります。貧困が自己責任なんてとんでもないという反対意見も理解できます。ただ、個人的にはあまり賛同したいとは思いません。犯罪に走る奴は差別があろうが貧困だろうが犯罪を犯します。そんな連中をダークヒーローにするべきではない。貧困に耐えてる人だって沢山います。
もちろん、差別を擁護したいわけではありません。人種差別のデモにかこつけて暴動や略奪行為等に走る連中のことです。
ちなみに自分は件の元社長のシンパでもファンでもありません。むしろアンチに近い感情です。アジテーターとしては評価してますが。
でもだからといって言ってることを何でもかんでも理屈抜きで否定できるほどの論客では自分はありません。貧困は自己責任と言われて、それを否定できる論陣を自分は張れません。
ま、その元社長にしたって、「こういう物言いをすれば世間は食い付くぞ」てな打算の上で上記の言葉を発した可能性が高いと個人的には思うので、そう目くじらを立てるほどのものでもないのでしょう。ここでこんなこと書いてる自分もそのアジに乗っかってるわけですし。
強く否定もできないけど、賛同したいわけでもありません。強いていえば「貧困は自己責任の場合も多分にあるけど、そうでないケースもままある」ってとこでしょうか。ものすごくずるい言い方ですけど。
以前どっかに書いたけど、自分も経済力を冷静に見れば反論の余地もない貧困層なのでしょう。平均値以下の低級国民です。
ただ自分はそれで社会とか政治とかに責任があると言うつもりもありません。貧困は確かに威張れるもんじゃないけど、富裕層が負わねばならないリスクや義務からは解放されてるので貧困に甘んじている面もあります。
それに貧困にならないための努力を今までやってきたか、あるいはいまその努力をしているか、と問われれば胸張って答えられないのは自分自身、よく分かってるつもりです。将来の貧困に備えるか、今の努力を怠るか、全ては自己責任だったと言われれば反論できません。
実際、この世の中、言い訳できない貧困層のくせに仕事も真面目にやらない輩は腐るほどいます。仕事は真面目にしないくせに同僚ハブったり足引っ張ることにかけてはやたら熱心な連中。勤務時間が終わるのをただ待ってるような仕事しかしないくせにタイムカードを押すタイミングはできるだけ遅らせる知恵だけはある連中。仕事の質は低級以下なのに給料の少なさに文句言うことだけは知ってる連中。そのくせ給料ちょっとだけ多く貰ってる同僚を辞めさせたがる連中。仕事を真面目にしないんだからそりゃ給料なんか上がるわけがありません。
そういう連中は貧困が身に沁みついているのでしょう。貧困から抜け出す努力もしないのでしょう。自分もそうです。
恐らく元社長は経営者の立場から貧困は自己責任という考えに至ったのでしょう。低賃金の仕事も真面目にできない人が高給取りの仕事なんかできるわけがありません。アタリマエです。自分ももし経営者ならそういう連中は一刻も早く辞めさせたい。給料貰ってる職場に仇なすような連中には思う存分、貧困を享受していただきたい。本人がそれでよしと考えてるんだから。
政治が富裕層や大企業を優遇するのも当然です。彼らはマジメに投票してる重要な票田なので優遇される資格があります。その一方で半数以上が投票権を棄ててます。イメージに過ぎませんが、投票に行かない人は大多数が貧困層ではないでしょうか。選挙にも行かない人は政治に物申す資格など当然ありません。
でも、今の社会はそんな連中にもとりあえず仕事は紹介してくれるし一方的にクビ切られることもありません。貧困にやさしい社会と言えると思います。
こんなこと言うと「そんなことが言えるのはあなたがいま本当に困っていないからだ」と言われそうです。それも理解します。
自分だって数年後、にっちもさっちもいかないほど貧困にあえぐ時が来ないとも限りません。恐らくそうなった時、自分は臆面もなく「貧困は自己責任なんかじゃない!」と、声高に叫ぶのでしょう。




