ガンダムデザイン
ガンダムデザインッ! という言葉が、かつてあった! これはガンダムと特定の車を同時に貶める言葉やッ!
と、徳光康之調でいきなりのキレ気味から導入してみました。まあ、かつてどころかいまでも現役バリバリの言葉かもしれませんが。
早い話が車のデザインが無意味にカッコつけてて逆にカッコ悪いという意味のスラングでしょう。使った人の意図はさておき、ガンダムまでとばっちりでカッコ悪いとディスられてるわけですな。いい迷惑というか。いや、ファーストガンダムのデザインはむしろカッコ悪いという説を最近知って目からウロコだったのですが。
とまれ、意味としてはガンダムトリコロールの色使いが子供っぽいとか、作りが玩具っぽいとか、そういう意図で車のデザインに物申しているのでしょう。
しかし子供向けロボットアニメのロボがカッコよくなくてどうするよ。玩具が売れなきゃ話にならんでしょ。いや、そんなことは重々承知した上で、カッコつけ車を子供っぽいと言いたい意図だというのは分かるのです。
実際、ガンダムデザインと聞いて頭に即座に浮かぶ車は数台あるし、道で見かけてもあ、ガンダムデザイン、とか思っちゃうくらいなのですから、この言葉にはかなりのインパクトがあるってのも認めます。
言霊というものがあるならば、それはガンダムというタイトルのネームバリューでもあるのでしょう。その四文字を聞いただけで誰しもガンダムトリコロールの巨大ロボットが頭に浮かびます。人によってはそれだけでスイッチ入ってアツく語り出したりもします。
カッコつけならマジンガーデザインでもゲッターデザインでも何でもいいのです。要は言葉として意味が通じるか否かなので、特にガンダムを貶めたいわけではないってのも理解はしてるんです。
で、そのガンダムデザインの車とはどんなものなのか? これはもう人によってマチマチなのではないでしょうか。かく言う自分にしたってそんなに車のデザインに一家言あるわけでもありませんし。
強いて言うなら中身はファミリーカーなのに妙にクロカンぽくしたりとかスポーティーなスタイルにしたりとかメカっぽいフロントマスクなんかがそれでしょうか。
中身は主力車だけど外面だけ変えて別の車に仕立てるっていうあの手法。それが悪いとは個人的には思わないんだけど、そういう車はどうしても手抜きをプロに看破されるっぽい。
バブル期にはよく使われたテだったそうだけど最近は車種も減ってそんな派生車もあまりないそうですが。それでも無闇に肩肘張ったデザインの車は目にします。あえて言及はしませんけど。
しかし一時期に比べてガンダムデザインな車はグッと減ったようにも思えます。バブル期ならいざ知らず、あまりいい加減な車の開発などできなくなった事情もあるのでしょうが、妙にカッコつけて全体のバランスが狂ったようなデザインの車はほとんど見られません。個人的な感想に過ぎませんが。
そもそもガンダムデザインという言葉が生まれた時代はまだファーストガンダム世代が平社員から中間管理職の間ではなかったでしょうか。そんな人たちが車のデザインなんて花形の仕事に就けるわけがありません。
しかし時代は進み、ファースト世代が車の開発を任されるようになると、シャア専用オー◯スとか冗談みたいな企画が実際に通っちゃったり、カトキワークスのレーシングカーが登場するようになったのです。
つまり、ガンダム直撃世代の人たちが権力を握るようになると、ガンダムデザインはあまり見なくなったってことです。少々強引ですが。
逆に言えば、カッコいいデザインというのはどういうものか、よく分かってないガンダムデザインの車をヘーゼンと開発してた人たちはガンダムより一つ上の世代であった可能性も多分に考えられるのです。
車のデザインという仕事はかなりの花形なので、実力だけでできるものでもないという噂も耳にしたことがあります。そんなモノ作りの現場を揶揄する言葉としてはこのガンダムデザインという言葉も、まあ的を射ていたのかな、という気はします。