表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界転移者は悉く。』※修正中  作者: 無瀬
《グレイズ魔法店》
59/61

第55話 『疑心』

 

「騎士隊の人が、酷い怪我だ!」


 街の門の方から聞こえる鬼気迫る叫び声。


「……早速事件が起きたね」


 グレイズはどこか悲しそうに告げる。

 それを聞いて、いきなりエリスは脇目も振らず走り出した。


「おい、エリス?!」


 突然の行動に驚きつつも、また見失わぬ様について行く。


 遠くに聳える巨大な門。

 何かを見に来ているのか。その周りには何人もの人間や妖狐、中には全身毛むくじゃらの生き物までいる。


(あれは、また違う種族か……?)


 エリスに書庫で聞いた『獣人』という種族だろうか。


 そうこう考えていると、エリスは群衆を掻き分けて事件の中心へと向かっていった。


「ぐっ、すみません、ちょっと通ります!」」


 切り開かれた道を通り、後に続く。

 そして、事態の中心に着いた時。


「─────」


 俺は絶句した。


「ひ、酷いです……」


 ルナールが背後で悲痛な声を上げる。


 無数の剣が鎧の上から身体のあちこちに突き立てられた、満身創痍の騎士の姿がそこにあった。

 兜は半分破壊され、吐血している彼はその場に倒れ、数人の騎士達に介抱されている。


「おい!!大丈夫か?!」


 騎士の一人が呼びかける。

 近くで見ると傷の痛ましさに目を逸らしてしまいたくなる。


「……ナルシア……が」


 男は口を動かし、掠れた声で何かを伝えようとしている。


「ナルシアだと?何があった?!」


 エリスは彼の側に近寄り、問いかける。


「っ、ナル……シアは、既に邪悪─────」


 しかし、全てを伝える前に彼は目を瞑り動かなくなった。

 それと同時に、騒ぎを聞きつけたのか何人かの騎士達が集まってきた。


「皆さん、離れて下さい!」


 その先頭で群衆に指示を出しているのは、見知った金色の髪の女性の騎士。


「ソレイユさん!」


「カガヤ様?!エリス様も、何故ここに─────」


「話は後だ、ソレイユ。早く治療しなければ間に合わなくなるぞ!」


 焦った様子のエリスの声を聞き、ソレイユはすぐに重傷の男が視界に入ったようで、辺りの騎士に指示を出す。


「っ!治療魔法、急いで!」


 指示を受けた数人の騎士達は男の側に駆け寄ると、すぐに傷に触れて治療を始めた。


「傷の具合は?」


「重傷ですが、なんとか命は助かるかと」


「そうか……ありがとう。治療を続けて下さい、それが終わったら城の医務室に運びます」


「はっ!」


 どうやら一命は取り留めたらしい。

 ほっ、と安堵の息を吐く。


「エリス様、カガヤ様。それに……魔法店の方まで、皆様お揃いで……どうしたのですか?」


 治療の様子を見ながら、ソレイユはゆっくりと語りかけてくる。


「…………」


 しかし、何故か隣に立つエリスは表情を曇らせたたまま何も答えない。


『騎士隊の内部』

『邪悪の樹に離反』


 ふと、昨日のヘクトルからのメッセージを思い出す。


(まさか……)


 目の前で首を傾げている、二番騎士隊隊長ソレイユ。

 まさか、彼女が離反しているのだろうか。

明日は推敲の時間にします。


なので、次回の投稿は11月2日になります~!


*追記*

3日の21時に変更に相成りました。

申し訳ありません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ