最強の魔王
よろしくお願い致します。
僕が生まれたことで全てが狂った。
シュバッ!
別に責任なんかは、感じてないけど。
ブシャッ!!
だって、好き好んでこんな場所に生まれてきた訳じゃあないもの。
「な、何故‼」
でも、僕だって死ぬのは嫌。
「何故、この聖剣でも死なないんだ!お、…私は"現代"からやって来た、勇者なんだぞ!?」
僕の身体から、たくさんの血が流れる。
へぇ、僕の身体の血も、一応まだ赤いんだ。
「ええい、いい加減に返事くらいしろ!魔王!」
僕は玉座に座ったまま、ボーッと傷口を見つめる。
普通の人は、切られたらたいてい死ぬんだろうから、そりゃあ僕は不気味なはずだ。
「聞こえないのか?!真面目に私と闘え!!」
ああ、この人も、良い人なんだな。
顔つきから苦労が伺える。
「おい、聞ーー」
「ごめんね。」
僕は人から冷たいと言われる無表情のまま、遠くを眺めて呟いた。
「僕のせいで、君の日常を壊しちゃって、ごめんね。」
「ーッ?!」
「あの仕様がない教会の人達には、うまくいっておくから。まだ、間に合う。帰りなさい。」
僕は、固まる彼に手を向けて、記憶を取り除く。彼の世界は、この辺かな。
今なら、まだ、"ユメオチ"というもので済む。
あ、能力も、向こうじゃあいらないだろう。よし、これでOK。
「バイバイ」
ワープ魔法で彼を元の世界へ戻す。多分、彼も今までの子達と一緒だろうから。
はあ、別の世界の人間に他力本願なんて、どうかしている。
こんな世界、さっさと放り出したいよ。
誰か本気で僕を倒しにこないかなぁ。
あ、君はどう?
ありがとうございました。