ホームレス剣士、家を買う。
カヌレと言う名の腕の立つ剣士がいた。剣の腕を磨くことにしか興味がなく、村人には近づきがたい存在で人は彼を剣豪と呼んだ。そんな彼は今、クエストを淡々とこなしこの世界有数の大金持ちとなっていた。
「フリーター、......?」
カヌレは動揺していた。定職につかず1日の大半を剣術の稽古に努め、さすらう。これこそがかっこいい男の生き様と信じて生きてきた彼には聞き慣れない言葉だった。それを異世界の友人に真っ向から否定されたのだ。
「そう!しかも自分の家もないってホームレスって言うんだよ!」
異世界から来た少女ユーリの見知らぬ言葉の数々にたじろいだ。
「ほーむれす、それはかっこいいものなのでは?」
「「ぜ〜んぜんっ!!」」
異世界では家を持たないものはかっこよくない。その言葉は強くカヌレの心を打った。
「フリーター剣士、家、買います!!!」
今から数ヶ月ほど前のことだろう。家を甘く見ていた。異世界の諸事情を聞きカヌレはすぐに不動産屋というものを探したもののそんなもの存在すらしなかったのだ。ユーリの助言をもらい大工に相談したものの家を建てようにもそんな技術はとうについえたと。そんな中家を売ってくれる者があらわれた。昔の王族の宮殿だということで300万坪以上。ユーリによると異世界のベルサイユ宮殿ほどの大きさらしい。とりあえずその宮殿を買うことにした。
「五兆G!!!!!!?」
こうしてカヌレの貯金生活は始まった。