x-1 夢1
懐かしい声が聞こえる。
「姉さん。ルシフェルは役に立ってる?」
子供っぽい男の子の声。
「ええ。ルー君のおかげで調査は順調よ。今日も、あの星に降りて頑張ってくれているのよ」
優しい女性の声だ。
「よかった。姉さんのために、もう一体、造って来たんだ。今度は、ルシフェルを元にして造ったから簡単だったよ。ただ、全体の能力は下がっちゃったんだ。でも、その換わりに、すばしっこいヤツなんだ。ねぇ。また、名前を付けてあげてよ」
「まあ、可愛い子ね。うふふ。無邪気に飛び回って。そうね…。ベルゼブブ。うん。ベルゼブブがいいわ」
「ベルゼブブだね。よし、ベルゼブブ。今日からお前は姉さんの言うこと聞くんだぞ」
「うふふ。よろしくね。ベルちゃん」
「それから、姉さん。僕が使うために4体造ったんだけど、こいつらにも、名前を付けて欲しいんだ。姉さん、考えてくれないかなかな?」
「まあ、こんにちは。この子たちも翼が6枚あるのね。じゃあ、どうしようかしら?う~ん。そうね。よし。決めた。このしっかりしていそうな子がミカエル。隣の大人しそうな子がガブリエル。で、この賢そうな子がラファエル。そして、この、やんちゃそうな子がウリエル。どうかな?」
「うん。いいと思うよ」
「よろしくね。ミカエルくん、ガブリエルちゃん、ラファエルくん、ウリエルくん。ベルちゃんとも仲良くしてね」
「よし、ミカエル、ラファエル、ウリエルは自分の仕事に行って来い。ガブリエルはここでメムの手伝いだ」
「そういえば、メムが言っていたわね。生命の樹から新しく産まれそうな子がいるんでしょ。今度はどんな子かしら」
「今度は、小さいヤツがいいな。この前のバハムートみたいなのが増えたら、船の中が狭くなっちゃうよ」
「うふふ。早くあの星に降りられるようにしないといけないわね。ベルちゃんはルー君を手伝ってもらおうかしら。でも、その前にシンとメムを紹介しましょうか。メムは後でここに来ると言っていたわね。じゃあ、先にシンに会いに行きましょう。シンはバハムートちゃんの所かしら?」
「きっと、そうだよ。ガブリエルはここでメムが来るのを待て。さあ、行こうよ。姉さん」
笑い声が遠ざかっていく。
訪れた静寂の中、まどろんでいく意識に身を委ねた。