表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
期限切れの恋  作者: 天川
期限切れの恋の行方
PR
13/20

私は彼女が好きだから

私は怯えていた。大壱が桜子に“私の嘘”を伝えてしまったらと思うと、恐ろしくて仕方ない。

しかし、あの嘘を言った時から引き返せはしないのだ。

全ては私のせい。

“嘘”を“本当”に変えなければならない時がきたら。

“嘘”だとバレたら。

その事実がどんな結果を手繰り寄せるのか。

私はただそれが恐ろしい。


大壱と会ってから一週間後。

とうとう、桜子からメールが届いた。


【奈々ちゃん!大壱くんから聞いたけど、彼氏いるんだって?どうして教えてくれないの!?(怒)】


どうにも、彼女の怒りを買ってしまったらしい。別に黙っていたわけではない。本当はいないのだから。しかし、青ざめた私には彼女の機嫌を直す余裕はあまりない。最も重要なことは、今はこの嘘をどこまで上手に誤魔化せるか、だ。

焦りと恐れを感じながら、同時に一週間も黙っていた大壱を意外に思った。あいつのことだから、私の焦りなど気にせずにペロリと話してしまうと思ったのに。

とりあえず、返信しようと血の気が抜けた手で携帯を握り直した。


【ごめん(汗)中々言い出す機会がなくて・・・。でも、】


でも・・・なんだろう。言葉が思い付かない。

私は男性と付き合ったことがない。だから想像でなんとなく、ありきたりな言葉を打ち込んだ。


【でも、充実してるよ】


充実してるって、何が?

思わず自分でツッコんでしまうが、そのまま送信する。

数分後、メールの着信音が鳴った。


【のろけ話聞きたーい!o(^o^)oどんな人なの?】


食いついてきた。

のろけ話なんてない。正直にそう言えたらどんなに楽なんだろう。

しかしそんなことを出来る訳がなく、なんとかひねり出す。


【この前、ワールドランド行ってきたよ】


ずっと昔にテレビで小耳に挟んだ話だ。バラエティ番組で『デートスポットランキング』をやっていて、その一位がワールドランドだったのだ。場所が遠くお金もかなりかかるため行ったことは無いが、充実したアトラクションと施設があるそうで、当時は桜子と行ってみたいと夢を馳せたものだ。

曖昧な記憶を辿りながら、その情報が正しいことを願う。


【ワールドランド!?結構アクティブな人なんだね!何歳なの?】


“ワールドランド!?”のくだりがものすごく気になる。変だったろうか。彼女の言葉一つに動揺し、心臓がドクドクと鳴る。


【私とあまり変わらないよ。ワールドランドはたまたまチケットが手に入ったから行っただけ】


彼女の質問をぼんやりと誤魔化しつつ、さりげなくワールドランドに訂正を加える。こうすれば仕方なく行ったように見えるだろう。


【そうなんだ。でもすごく仲良いんだね!ワールドランドって待ち時間が結構長くて、会話がもたなくて別れるカップルが結構いるみたいだから・・・。奈々ちゃんの好きな人と会ってみたいなぁ~】


ワールドランドの話をふ~んと読み流しながら、最後の文章に項垂れた。横たわっていた布団の枕に額を押し付け、考える。

予想はしていた。桜子なら、絶対こう言うって。だから私は汗が滲む手で、あらかじめ考えていた言い訳を打ち込んだ。


【彼、すごく忙しい人だから、会うのは難しいかも。ごめんね】


送信して、一息吐く。

襲ってきたのは一時的の安堵と、強い疲労感だ。

分かっている。こんなのは一時的逃避に過ぎない。

根本的な解決にもならず、嘘だということはいつか絶対バレるだろう。


けれど、桜子を私から解放するためならば、


私は、“嘘”を“本当”にしてみせる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ