心霊体験
作者が幼少時に体験したノンフィクションです。
これは、私が幼少時に体験した、不思議で不気味な話……。
あれは、十数年ほど前のある夏の晩。
そのころ、私は現在のアパートではなく、まだ団地暮らしでした。
その日、私は一人で留守番をしておりました。
時間は、だいたい夜の六時ごろだったと思います。
その割には、日が暮れるのが早かった気がしますので、多分、残暑ごろですね。
その日は、父親は仕事をしており、いつ帰ってきたのか覚えてません。
母親は出かけており、脳に病を患っていたので病院へ通ってました。
私は六時ごろにやっていたアニメ()をいつものように観てました。
――○○くん、玄関を開けて……。
アニメを観ている時、ふと声が聞こえて、玄関を開けるよう言われました。
多分、母親の声だったと思われます。
幼かった私は直ぐに、玄関の扉を開けました。
ただし、ゆっくりそうっとですが……。
玄関の前には、誰もいませんでした。
おかしいな?と思いました。
だって、母親と思い玄関を開けたら、誰もいなかったのです。
でも誰かに呼ばれた気はしたのです。
疑問を解消しようと、辺りを見回すと、団地の入り口の右側に白い着物の女性が後ろ姿で佇んでいました。
声をかけようにも、何故か怖く感じてしまい、かけれませんでした。
今思うと失礼に値しますが、玄関の扉の隙間からちらちらと白い着物の女性を見てました。
分からない。けれど、気になる。
好奇心で女性をしばらく観察していると、団地の前は誰も通りません。
自分でも、すぐにおかしいと気づきました。
普通ならば、仕事や塾帰りの人たちなどが来るはずなのに、一向にやって来ない。
そう、誰一人帰宅して来ないのです……。
そして、私は気づきました。
白い着物の女性が幽霊だということに。
それは今まで胸中にあった好奇心が、恐怖に裏返った瞬間でした。
私はすぐに玄関の扉を、静かにそっと、でも急いで閉めました。
白い着物の女性が入って来れないために。
その後は、敷いてあった布団に身を包むと、何故か不気味に聞こえるアニメを見ながら、眠りに落ちました……。
母親の声で目覚めると、もう朝でした。
時刻は覚えてませんが、多分十一時間も寝ていたと思います。
昨夜、幽霊を見たと母親にすぐに伝えましたが、どう反応したか、残念ながら覚えてません。
当時の私は[地獄先生ぬ〜べ〜]の影響で幽霊好きだったことから、多分、形だけあやされたのだと思います。
以上で、私の心霊体験を終えさせてもらいます。