第二章*誘い
《第2章*誘い》
えいすけとメル友になった
メールのやり取りを通してわかったこと
後藤栄介
広島住み
17歳高校2年生
バレーボール部
彼女なし
彼女いないんだぁ…?
いたらメル友なんて募集しないかぁ!!
メールしてる感じだと優しくて楽しい人
でもメールは文字だしあまり本人のことはわからないよね
でも印象は良かった☆
じゃぁシホはどう思われたかな…?メル友としてやっていけるかな?
そんな不安が生まれてきた
そんなことを思ってた時だった
チャラララー♪
受信:えいすけ
【もしよかったら今夜電話してみない?】
突然の誘い…?
どうしよぅ…
だって今日知り合ってまだメールしかしてないのに…
もしかして軽い人なのかな…?
しほは不安になった
その反面、えいすけを知るきっかけになるかもしれないという思いがあった
しほは電話をしてみることに決めた!
送信:しほみ
【緊張して話せるかわからないけどいいよ♪】
会うわけじゃないし電話くらいいいよね♪
仲良くなれるかもしれないし!
前向きに考えていこう!!
チャラララー♪
受信:えいすけ
【じゃぁ8時ごろにいい?】
8時かぁ〜
送信:しほみ
【うん(´ω`)いいよ♪どっちからかける?】
チャラララー♪
受信:えいすけ
【俺から言いだしたから俺がかけますよん!じゃあかける前にまたメールするね】
送信:しほみ
【はぁい♪待ってます☆またね】
こうやって電話の約束をして一旦メールは終わった
結構たくさんメールしたからかすでに夕方5時をすぎていた
考えてみれば男の人と電話なんて、学校の友達でさえ急用じゃなきゃしないのに一体何を話せばいいんだろ…??
シホの頭の中はえいすけと電話をすることでいっぱいだった
チャラララー♪
シホはビクッと反応してしまった
えいすけ君かな…?
メールの送り主をみて落胆
受信:ヒトミ
【お姉ちゃん雨降ってるからバス停まで傘おねがい☆】
ヒトミかょ!
気付けば雨が降り始めていた
シホ何期待してんの?こっちを見つめる枕元のプーさんのぬいぐるみがそう言っているように思えた
気を取り直してヒトミの傘を持ちバス停へちょっと急ぎ足で向かった
『おーぃ!お姉ちゃんこっち!こっち!』
ヒトミがバス停の脇からタオルをかぶって出てきた
『はい、傘♪』
『ありがと!でも遅いからぬれちゃったよー!』
こいつ…
本当にこの生意気な妹の姉ですかと自問したくなるよ
そういえば雨は久しぶりだなぁ
たまには雨がなきゃね
夏の雨はむんむんするけど嫌いじゃない
『さっ、帰ろうか♪』
『お姉ちゃん、手ブラならひとつもって!』
本当に…こいつは…
しかたないなぁもう!!
『はいはーい』
仕方なくヒトミがもっている荷物を一つ持ち、家へ帰りはじめた
夏なら夕方6時ごろでもまだ明るいはずなのに今日は雨だからか、薄暗い
ヒトミの前を歩きながら空を見上げて思った
そしてえいすけと電話することを思い出した
再び緊張しはじめるシホ
視線を前に戻した
歩くペースが自然と早くなった
帰ったらご飯だから食べてお風呂入ったら7時半頃かなぁ…
ってことは30分くらい余裕できるから…
というようなことを考えているうちに家へと着いた
軽い気持ちで暇つぶしのタメにメル友をつくるだけのつもりだったのに…
まさか知り合ってその日に電話の誘いを受けるなんて予想外の展開だった
電話かぁ…
えいすけ君と電話…
会ったこともない人
どんな声なんだろぅ
考えれば考えるほどえいすけのことが気になってしまう
ただ電話の誘いをうけただけ
普通に楽しく話せればいいか☆
シホそう思うことにした
この時はまだこの先のことなんて考えもしなかった
むしろ考えることなんてできなかった
ただのメル友としてしか意識してなかったから当たり前だよね
しかし、あのメル友サイトからえいすけを選び、えいすけからの電話の誘いを受けたあの瞬間から、シホの新しい恋は始まるのでした
そんなことも知らず、ただ緊張をしたシホは家のドアに手をのばした