転生したけど
転生
その言葉でみんなは何を多い浮かべる?
勇者?ハーレム?チート?
大体そうだろう、未知の世界に行き最強の力を手に入れる。自由に好き勝手に生きる
多分殆どの人が憧れるだろう
俺もその一人だ
残業、残業、残業、残業、残業
その毎日、楽しみも生きる気力も他人の必要性も
ましてや自分自身の事すらもわからなくなり全てが無意味と思う
壊れた人間……そんなところだろう
それでもこの世界では俺よりも辛くて苦しい人は山ほどいる、そんなことを考えてしまい……自分と比べて、まだマシだから頑張ろうと考える
最低な方法だ、嫌な人間だ
……俺は俺が嫌いだ
だからこそ、自分が倒れた分かった瞬間。恐怖よりも喜びが先に来た、やっと終われる。やっとこの世からいなくなる…そんなことを思いながら
――
気づいたら暗闇にいた
最初に考えたのは病院だ
だけど、会社で倒れたまま放置されたとも思える
だけど、いくら待っても”音”が入ってこない
いや、音だけじゃない”光“も”熱“も何も感じなかった
わかるのは何かに包まれているという感覚だけ
パニックになった
声を出したいのに何もできない
暴れたいのに手足の感覚がない
拉致、そんな言葉が浮かぶ……が
こんな存在に価値なんてない
内臓とかは売れるかもだが……
いくつもの意味のない考えが、浮かんでは消えていった
数時間後だろうか、時計も日光すらないからわからないが
少し落ち着いた
落ち着いて考えたのはここが死後の世界という仮説だ
最後の記憶は自分が倒れる瞬間のみ
恐らくはそのまま死んだのだろう
自分の死体を会社に残すのは少し罪悪感があるが
あんな会社だから別にいいかとすぐに立ち直った
死後……俺は人間は死んだ後、幽霊…魂だけの存在になると思っていたが当たっていたのだろうか
いや、少なくとも魂だけなら音が聞こえないのも何も見えないのも理解できる、だけど俺は“何か”に包まれている
これが何なのかわからない以上少なくとも魂だけとは限らないだろう
…………次の仮説は、転生だ
突拍子もないが今の所これが有力だろう、俺の願望もあるが
転生、ということは生き物の胎児。それなら母体の中だからこの俺を包んでいるのは母、という事になる
……無いな、少なくとも生き物では無い。となれば無機物への転生…か
果たして、それが転生と言えるのかは疑問だが
問題は何に転生したのか
まだ、大地や星そのものなら嬉しいが
樹木や草、花などだったらすぐに終わるだろう
それに、最悪の場合として転生すらしてなく魂だけで虚無の空間を漂っているだけという事すらありうる
……それは嫌だな
永遠に一人で何も無いところで過ごす
そんなのは当然壊れるだろう
ひとまずは無機物への転生として考えるべきだ
問題は俺が何かだ
何かできないかと色々試す
ステータスや鑑定ができないか
魔法や魔力を感じるか
……何もできない
でも、生きていた頃よりかは自由だ
そんなことを考えた
その時
?
俺を包んでいたのが破れた?
いや………俺が破ったのか?
何もしてない……いや、何かした筈だ
考えろ、きっかけは何だ………試すか
やってみる、まだ包んでいたのが破けた
……そうか
俺は笑った
いや、顔も喉も心臓すらないが
久しぶりに心の底から笑えた気がした
やった事としては前世でいう体を伸ばす行為
疲れた時にやる、体をほぐすためのストレッチみたいなことを
多分俺が伸びた
そうだろう。それしか考えられない
ならやるべきことは一つだ
全身を伸ばす、感覚としては思いっきり手足を伸ばす
周りを包むものが破れる……いや、割れるの方が正しいだろう
恐らく俺の周りは岩だ、伸ばした所から硬さが伝わってきた
貫いたところは綺麗に割れていた、この割れ方なら岩以外考えられない
まず、この星が前世と一緒とは限らないから何も言えないが
伸ばすどこまでも、その度に何かを貫きながら進む。多分俺は金属か何かだろう、岩よりも硬いのはその辺だ
……自在に動く金属があるとは考えられないけど
異世界ならそんな物もあると納得しよう
四方八方に伸ばす、どこが上でどこが下なのか左右前後すらわからないから全てに伸ばす
伸ばして伸ばして伸ばしたさきで、先っぽの感覚が消えた
痛みはなかった
何かがある、俺を無くす何かが
何かを確認するため少しずらして伸ばす
消えた
またずらして伸ばす
消えた
また……
消え…
………
数十回やって消える範囲が円状いや、球体になっていることがわかった
多分、星の核だろう
内核か、外核かどちらかだ
消えたことから俺は余程の高温では消滅するらしい
いや、マグマなんかでも可能性はあるかもだが今の所遭遇してないからわからない
でも、マントルを貫いたとは思えない
それらしい硬さの層はなかった筈
……もしかしたら、俺が存在しているのが外核の中……ということかもしれない
そうだった場合、地上に出るのにどれくらいの時間がかかるのだろう
地上の方向は分かった、これ以上横に広げても意味はない
核は星の中心だ、それの反対に行けばいい
問題は、その途中でマントルやプレートに当たること
貫くことはできるだろう。でも、その場合のこの星への影響がわからない
自転が止まるかもしれない……そもそも回っているのかはわからないが
昔の話だからほとんど覚えていないが、自転が止まると地上で大惨事が起こるかもしれないと聞いたことがある
この星に生き物がいるのかすらわからないから……
悩む、もしこの世界に生き物が文明があるのなら
俺が自転を止めたことでその文明は滅ぶかもしれない
生き物が死滅するかもしれない
最悪な考えがぐるぐると巡る
……いいか
考えない事にした、既に俺は無機物。人間ではないんだ、人間の頃の考えを捨てたとしても何の問題もない……はず
でも、慎重に行く
とりあえず上に伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
伸ばす
硬いのに少し当たって止まる
たぶんマントルだろう……
とりあえず貫けるか試す
……いけるな、今までよりかは硬いが問題ないだろう
…先程思い出したが、前世の星々は外核が液体で内核が個体だったはずた
この硬いのがマントルなのかすら怪しくなった
いや、この世界に前世の知識が当てはまるとは限らない……か
とりあえず思いついたのを試す
俺の先端を細かく薄く分けながら伸ばす
岩と岩の間を縫うように進む
……うまくいった。これでマントルは超えたはず
少し戻り、下の部分を突く。
硬い
マントルの内側からも突く
同じ硬さだ
超えただろう
なら、遠慮はないはず。プレートに当たるまで進む
プレートが分かるといいが




