表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢ですが、帳簿を燃やした王都が先に滅びそうです 〜追放先の辺境で実務改革を始めたら、国家より信用が強くなりました〜  作者: 篠宮しずく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/33

第27話 参加したい領地

訪問は、正式な外交文書ではなかった。


「……面会希望、ですか?」


ユーリが差し出したのは、簡素な書簡だった。

装飾も、王印もない。

だが、差出人の名は軽くない。


「自治都市ラドウェル評議会代表」

「小領主同盟、調整役を兼ねているそうです」


私は、封を切らずに言った。


「目的は、分かっています」


---


面会に現れたのは、三人。


一人は自治都市の代表。

一人は農地を持つ小領主。

もう一人は、実務担当らしい若い男。


全員が、同じ緊張を帯びている。


「……本日は、お時間をいただき感謝します」


代表が、慎重に言葉を選ぶ。


「率直に申します」

「我々も、貴領の“信用証書”に参加したい」


来た。


「理由は?」


私が尋ねると、彼は少し間を置いた。


「王都の制裁で、物流が不安定になりました」

「だが……貴領は、影響を受けていない」


「正確には」


私は、淡々と訂正する。


「受けています」

「ただし、止まっていません」


---


「条件は、何でしょうか」


小領主が、思い切ったように口を開く。


「王都への忠誠は、捨てられません」

「だが、取引の安定は必要です」


その言葉に、ユーリが一瞬息を呑む。


私は、首を横に振った。


「両立は、できません」


沈黙。


「我々は、反乱を望んでいるわけでは――」


「分かっています」


私は、遮らずに言う。


「ですが、信用圏は“中立”ではありません」


「……どういう意味ですか」


「約束を守るかどうかで、線を引きます」

「王都の命令で、契約を破る可能性があるなら」

「最初から、入れません」


若い実務担当が、思わず声を上げる。


「それでは、危険すぎる!」


「ええ」


私は、頷いた。


「だから、価値がある」


---


代表は、しばらく黙り込み――

やがて、苦笑した。


「……厳しい」


「条件は、同じです」


私は、書類を一枚差し出す。


「帳簿の開示(限定)」

「契約遵守の優先順位」

「第三者監査の受け入れ」


「……主権に、踏み込みますね」


「制度に、踏み込みます」


私は、淡々と答える。


「支配はしません」

「ですが、信用は管理します」


---


面会の終わり。

三人は、重い足取りで席を立った。


「すぐには、決められません」


「当然です」


私は、引き止めなかった。


「急がせると、歪みます」


---


扉が閉じた後。

ユーリが、少し不安そうに言う。


「……断られるかもしれません」


「ええ」


私は、否定しない。


「半分以上は、来ません」


「それでも……?」


「それでも、十分です」


私は、帳簿を閉じる。


「信用圏は、数で作りません」


---


夜。

執務室で、地図を眺める。


点が、いくつか浮かんでいる。

参加を迷う領地。

参加を諦める領地。


(全て、想定内)


大きく広げれば、崩れる。

狭く保てば、強くなる。


私は、欄外に一行書き加えた。


「――参加条件、変更なし」


選ばれる場所になるには、

選ぶ覚悟が要る。


それが、この圏の最低条件だった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ