猫獣人 アル
救出した一人は、無事に雇い主のもとへ送られた。
――だが、問題はその後だった。
「親は?」
「……殺された」
短い沈黙。リリスは息をのむ。
ライルは、ほんの一瞬だけ眉をひそめてから言った。
「想定してた最悪だな」
「リリス、幸運使ってなんとかしろ」
「無理ですって! 確定してない“未来”に干渉するのとは違うんですよ!」
その時――。
小さな足音。
物陰から、猫耳の獣人の少女が顔を出した。
銀髪に、左右の色が違う瞳。リリスと並べば双子のように可愛い。
「匿ってあげてください!!」リリスが即座に叫ぶ。
「嫌だが?」ライルの声は冷ややかだった。
「なんでですかっ!?」
「慈善事業じゃないんでね」
「わ、私が依頼しますよ!」
「金払え」
「ん……!? もうー!」リリスは頬を膨らませた。
そのとき、獣人の少女が小さく呟いた。
「えと……私、働くから。見捨てないで」
ライルは腕を組み、少しだけ目を細める。
「君に何ができるの」
「私は……八つの魂を持ってて、そのうち七つは精霊として扱える。多分……お兄さんなら、うまく使いこなせると思う」
ライルはしばらく沈黙したあと、口を開いた。
「名前は?」
「アル」
「アル。危険な仕事もあるが……いいな?」
「うん……」
リリスは小さく安堵の息を漏らした。
三人の新しい旅路が、静かに動き出す。




