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不死鳥の少女カミリア(旧・不死鳥少女建国紀)  作者: かんざし
第二章 新たな統治者たち

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第四四話 冒険者緊急会合

「これで全員か? カミリア君たちは? それにハルトヴィンも何処だ?」


 冒険者組合のロビーにて、ベルントは焦りを露わにする。エミーリア、アロイス、ラルフを含む冒険者たちが大勢集まっているが、少女たちの姿はなかった。


「確か海岸へ剣の稽古をしに行っているはずです」


 アロイスが言った。


「パウルもか?」


「パウルはわかりません。エミーリア、知ってるか?」


「何も聞いてないわ」


「誰かすぐに探して連れてきてくれ!」


 彼の声に応えて、一人の冒険者が少女たちを探しに行く。


 ベルントがこれほどまでに焦りを覚えているのは他でもない、先ほど大通りで起きた例の事件についてだ。


「犯人は冒険者で間違い無いんだな?」


「俺はそこに居合わせていたから知っている。少し遠かったから何級かはわからないが、冒険者バッジを首からかけてたぞ」


 ヒューエンドルフの外から来た冒険者がそう言った。


「俺はあいつの顔、見たことないぞ。少なくともここの冒険者じゃあねぇだろう」


 偶然その場に居合わせていた冒険者が言った。しかし、彼が冒険者となったのは例の男が腕を失った後であるため、彼のことを知らなかったのだ。


 仮に昔からここで暮らす冒険者が見ていたのならば、すぐに誰の仕業かわかったであろう。


「俺たちのせいっていうのか!?」


 都市ヒューエンドルフを拠点にしている冒険者の発言は、他の街から来た冒険者たちに覚えのない疑いをかけるようなものであったため、怒り始める者もいた。


「待て待て落ち着け! まだそうと決まったわけじゃない。俺たちの目的に気付いたやつが情報を流して、冒険者を陥れるために謀られた可能性だってある」


(これからどうすれば……)


 ベルントは計画の頓挫を悟り、冒険者という職業自体の崩壊の始まりのように感じた。


 そんな時だ。


「何があったのですか!?」


 組合入り口の扉が勢いよく開かれ、ハルトヴィンに続いて少女とクラーラが入って来た。


 丁度稽古を終えて都市内へ向かっていたところ、騒ぎを聞きつけ急ぎ組合にやって来たのだ。


「緊急事態だ! 丁度アマルル王国から帰還されたホルスト様が、大通りで何者かに殺害された!」


「そんな!?」


 少女とハルトヴィンは信じられない様子で驚いている。


「犯人はわかっているのですか?」


「詳細は不明だ。だが、首から冒険者バッジを下げていたという情報があった」


 少女は言葉が出ない。


「冒険者を陥れるために、第三者が行った可能性はないのですか?」


 ハルトヴィンはベルントと同じ考えに行き着く。


「俺もそう考えていたところだ。断定はできないが……言わなくてもわかるだろう?」


「辺境伯側は冒険者を処罰すると考えて間違いないということですね」


「そうだ。冒険者が罰せられるだけじゃなく、市民全員に重税が課せられる可能性もある。どう釈明すればいいんだ……」


 ベルントは頭を抱えている。


「兎に角、レオポルト卿と一度会うべきです。勿論出来ればの話ですが」


 少女は提案するが、不可能であろうとわかっている。ベルント同様、いやここにいる者たちのほとんどと同様に戸惑い、冷静さを欠いている。


「それよりも、冒険者としての認識を統一するべきです。これからどうしていくのか、辺境伯の判断よりも早く決定しなければなりません」


「ハルトヴィンの意見は正しいだろう。男爵と会う前に、冒険者としての考えをまとめよう。まず何よりも、今回の事件に冒険者組合は関与していない。これは絶対だ」


「冒険者協会もです。ヒューエンドルフの外から来た冒険者たちも、当然関係のないことでしょう」


 二人は弁明する。


 しかし、冒険者たちにはそんなことなどどうでもよく、今後も冒険者を続けられるのかどうかという点について心配していた。


 彼らは仕事を求めて来たのだ。計画の詳細はあまり理解していない。


 彼らからの怒号が飛び交う。


「俺たちはこれからどうすればいいんだ!」


「ここまで来たのに帰れってのか?」


 そんな時、またしても突然扉が開く。


「パウル! よく来た」


「遅れてすみません。事件に居合わせていたので犯人を追っていました」


「おお! それで、どうなった?」


 ベルントは事の真相がわかるかもしれないと、前のめりに質問する。


「追いかけている途中で犯人を一瞬見失ったのですが、悲鳴が聞こえたのでそこへ行くと、丁度殺されていました。犯人を殺した存在は顔を隠していたので不明です。追いかけようとしたのですが、魔法で姿を眩まされました」


 パウルは自身の見たものを大まかに説明した。


「指示した人間がいて、事が済んだから殺したということか。それで、犯人は誰だった?」


「元冒険者でした。名前は知りませんが、見覚えはあります」


 パウルの言葉には動揺せざるを得なかった。


「だが……元ということは、理由があったんだろう。何か知ってるか?」


「いえ、知りません。それよりも、これからどう動くかを先に決めるべきです。過ぎたことは変えられません」


「そうだな。早く動向を決定しなければ……」


 冒険者の意思決定はしばらく終わりそうにない。

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