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不死鳥の少女カミリア(旧・不死鳥少女建国紀)  作者: かんざし
第一章 転生と冒険者の道

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第二七話 盗賊との戦闘

 二日目の深夜、既にオークの攻撃を受けて気絶した二人はあの後目を覚まし、骨は折れていたもののパウルの携帯していた魔道具によって修復されていた。


 そのため今日は一日中歩けたのだ。軍馬は死亡してしまっていたため、そのまま置いてくることになった。


 昨日、今日と、問題はあれど目的地に向けて進むことができている。明日の朝に出発すれば、予定通り昼前ぐらいに到着するだろう。


 商人の男は馬車の荷台の中で、他の元騎士たちや冒険者たちはそれぞれの焚火を囲んで睡眠をとっていた。


 ――そこへ、深い闇の中から足音が迫る。


 数は十人で、金属同士の擦れる音がすることから武装していると推測できる。


 冒険者たちと騎馬隊員たちはすぐに察知し、立ち上がってそれぞれ武器を構えた。そしてようやくそれがどのような存在であるか視認する。


 盗賊だ。


「冒険者の皆さんは護衛を! ここは我々にお任せください!」


 それを聞いた冒険者たちは即座に商人のいる荷台の前へと向かった。


「あんたら……どっかの兵士か? それにその立派な馬車、こりゃあやりがいのありそうな獲物だな」


 盗賊の(かしら)らしき男の声が夜闇に響く。それに答えるかのように他の仲間たちも下品に笑った。


 元騎士たちは抜刀し、横一列に並ぶ。


 盗賊たちは怯むことなく、そこへ接近して行った。


「それ以上近づくな! ここを通ろうというのなら、その首を失うことになるぞ!!」


 騎馬隊長のブルーノは大声で警告した。


 しかし、盗賊は応じようとしない。初めから戦わない選択を取るつもりは無かったのだ。


「私たちも加勢したほうが……」


 パウルがそう言うも、騎馬隊員たちは盗賊の方を向いて聞く耳を持たない。せめて何か手助けをと思い行動しようとしたその時だ。


「マイヤー殿、ここは彼らの雄姿を見るとしましょう」


 後ろの荷台から声がした。


「恥を見せたままでは終われない。彼らはそういう人物ですから」


 ヴェルナーは落ち着いた口調で冒険者に告げた。オークとの戦いにおいて敗北したことは一般人からすれば決して恥ずかしいことでないのだが、彼らにとって人前での敗北は、その相手がどのような存在であっても耐えられないものなのだ。


 パウルはやはり人数差を心配するも、渋々了解した。


 そして、戦闘は始まる。


「かかれえええ!!」


「構えろおぉ!!」


 両者のリーダーが大声で合図をした。


 元騎士たちは美しい陣形を取って長い両手剣を掲げているのに対し、盗賊たちはそこへ各々がばらばらに突っ込んでいく。


 そして、両者が激突した。


 ――悲鳴が上がる。


 その声の主は、盗賊たちであった。


 元とはいえかつては騎士として鍛錬を積んでおり、それは今も欠かしていない。そんな彼らにとってただの盗賊など敵ではなかったのだ。


 オークとの戦いで敗れたのは経験がなかったことと、それによる動揺が原因であったが、今回の相手は人間だ。盗賊たちと比べて踏んできた場数が違った。


 騎馬隊員によって振り下ろされた剣を受け止めようとする者は、両手剣の重みと彼らの腕力によって自身の剣をへし折られ、刃が頭骸骨へとめり込む。


 避けようとする者は、あまりの速さと両手剣のリーチの長さから肉を斬られ、骨を砕かれた。


 そして盗賊たちはあっという間に七人が殺され、三人が痛手を負う。


「お前ら……何者だ!?」


「にっ、逃げるぞ!!」


 盗賊は完全に士気が崩壊し、生き残りは次々と逃げだした。


 ところが騎馬隊員たちは追いかけようとしない。軍馬を失ってしまっている以上、夜闇をむやみに走り回るのは危険な行為だからだ。


 そして長い両手剣に付着した血を拭い、腰に下げた鞘へと納めた。


 短時間の戦闘は、商人の騎馬隊の圧勝に終わる。


「おお!」


「すごい!」


 冒険者たちはそれぞれ感嘆の声を漏らす。


「流石は、私の騎士たちと言ったところでしょう?」


 ヴェルナーは得意げに言った。


 冒険者たちは少し離れたところで見ていたが、その剣の腕は素晴らしいものだと感心した。


「騎士諸君、お見事だった。一応どこの盗賊か確認しておいてほしい」


「了解しました」


 その間、少女は考え事をしていた。


 人前で不死鳥の力を使うべきではないと判断したからには、自身の剣の腕だけで生活しなければならない。状況によってはやむを得ないが、ふとした時に使ってしまわないよう普段は使用を控えた方がいいだろう。


 少女は、騎馬隊員たちの剣術にも注目していた。自身に取り入れることができる部分はないかと真剣に考えていたが、どうも厳しそうだという結論にたどり着く。


 少女の剣は斬る剣だ。対して彼らはどちらかというと叩く剣であり、扱い方が根本的に違った。


 収穫としては、仮に騎士と敵対した際はそういう戦い方をするという情報を活かせる程度であった。


 そして、ブルーノがヴェルナーのいる馬車に駆け寄る。


「ヴァイテンヘルム卿、奴らはギルベルタ盗賊団の者たちのようです」


 真剣な表情でそう告げた。


「……これは面倒だな。全員倒しておくべきだったか」


 商人の男は少し心配そうな顔をする。


「申し訳ございません。今からでも追跡を……」


「いや、構わん。悪い判断ではなかった。道中で獣にでも食われるだろう」


「だと良いのですが……」


 二人は何とも苦い面持ちであった。


「ギルベルタ盗賊団ですか?」


 パウルが問う。


「ええ、ギルベルタ盗賊団は伯国に拠点を置く盗賊の一大組織で、その規模はかなり大きいのです」


 ブルーノが答えた。


「それは……これから行く街にもいるということですか?」


 今度は少女が質問した。


「はい。ですが彼ら一味は街を歩けばどこだって見かけますから、大して変わったことではありません。手を出さない限りそこまで危険ではありませんよ」


 冒険者たちは不安に駆られるが、かといって長く滞在するつもりはないため、彼の言うと通り不要なことをしないよう気をつけるべきだと心得た。


 そしてひとまずは夜を越すため、死体を遠くへ埋めてまた横になる。

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