4.絶望の淵から。
リュカからしたら、何やってんだこいつ→なんだこいつ……!? です。
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――今回の一件は、完全にリュカの油断だった。
先日のダンジョン探索の際に、偶然にもドラゴンを討伐する少年の姿を見た。傍らに少女を連れていたようにも見えたが、顔立ちなどはハッキリと分からない。
それでも、あの硬い鱗を持つドラゴンを燃やし尽くす魔法は魅力的だ。
彼の力があれば、自分の夢に一歩近づくことができるかもしれない。
「そんな邪な気持ちがあったから、気配を逃したのかもな……」
ヒュドラの一撃を回避し、リュカは自嘲気味にそう笑った。
正直なところ、今日の自分は舞い上がっていたのだ。数日かけて見つけ出したヘリオスという少年と、ミクリアという不思議な少女。二人を仲間に引き入れることができて、どこか地に足がついてなかった。
「だから、これは私のせい。二人を巻き込むことは、できない」
今回の一件は、自身の失態だ。
だとすれば責任は、己の命で払うのが冒険者というもの。
「もっとも、冒険者に留まる気はなかったのだが、な」
だが、それも仕方ないだろう。
自分はここで終わるのだ。
リュカはそう考えて、ヒュドラの一斉攻撃に備えた。そして、
「くっ……!?」
一斉に吐き出された猛毒のブレス。
大量に浴びれば、間違いなく即死するだろう。
短い一生だったと悔やむものの、一区切りだと諦めをつけようとした。
「リュカさん、諦めたら駄目です!!」
「な……!?」
その時だ。
あの少年が彼女の前に立ち、防御魔法を展開したのは。
猛毒のブレスを防いだ彼の魔法は、まさに圧巻の一言だった。しかしそんなことよりも、リュカにとっては度し難いことがある。
それは――。
「どうして、戻ってきてしまったんだ!?」
何故、自分なんかを助けるためにヘリオスが戻ってきたのか。
その判断が、彼女にとっては信じられなかった。
「あ、あはは……やっぱり、怒ってます?」
そんなリュカを見て、ヘリオスはおどけたように笑う。
いや正確には、本気で怒られると思っての苦笑いだったのだが。
「怒っている、といえばそうなるが――」
そのようなことは、いまはどうでも良い。
リュカは、いかにして少年を逃がすかの算段を立てていた。すると、
「ちょっと、これ借りますね?」
「な、待て! それは私の――」
いつの間にか取り落としていたのだろう。
リュカの剣を拾い上げたヘリオスは、数回それで素振りをして感覚を確かめていた。彼女は少年を咎めようとしたが、どうにも膝に力が入らない。
そんなリュカの姿を見て、ヘリオスは――。
「――えっと。ボクも、一応は剣の心得があるので戦えると思います」
「なにを言って、いるんだ……!?」
そんな曖昧な言葉を口にするのだった。
当然ながら、リュカは唖然として言葉を失する。
しかし、そんな彼女の様子などお構いなしに、少年は剣を構えた。
「ヒュドラってたしか、魔法が弱点なんですよね。でも、倒すとしたらトドメは首をすべて断ち切らないといけない」
「ヘリオス、くん……?」
「それだったら――」
淡々と分析するヘリオス。
そんな彼は小さく息を吸い込むと、こう口にするのだった。
「中途半端な器用貧乏も、いまは役に立ちます……!」――と。
その直後、リュカは信じられないものを見た。
ヘリオスの手に握られていた自身の剣は、その在り方を変えたのだ。
「ヘリオスくん、キミはいったい……?」
呆然と少年を見上げるリュカ。
彼の手には、一振りの燃え盛る剣が握られていた。
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