3.非常事態に、リュカのとった行動。
眼精疲労がひどい、という近況報告。
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「さあ、デーモンだ! 私が引き付けるから、キミは魔法の準備を!!」
「分かりました!」
ボクにそう指示を出すと、リュカさんは鉤爪を持った巨大な悪魔型の魔物に接近する。そして身のこなし軽く、敵の攻撃を避けながらダメージを与えていた。
こちらはその間に、意識を集中し【ファイア】を放つ準備を始める。
先日のような馬鹿みたいな火力は要らない。
「大丈夫。制御できる……!」
これが、ミクリアのくれた天恵、なのだろうか。
莫大な魔力が身体の底で暴れまわるが、不思議と制御ができていた。彼女は今までの努力に見合った成長しか見込めないと語っていたが、本当にそうなのかは信じられない。
とにもかくにも、ボクは少女への感謝を胸に魔法を放った。
「リュカさん! 行きます!!」
「分かった!」
合図を送ると、リュカさんは颯爽と回避行動に移る。
そして、逃げ遅れたデーモンに向かって――。
「喰らえ……!」
ボクの手から放たれた炎は、確実に敵を捉えた。
デーモンはけたたましい悲鳴を上げながら、消失していく。
「ふぅ……」
「どうやら、倒せたようだね」
デーモンが消え去った場所には、怪しい輝きを放つ結晶が残った。
これは魔力の元となる魔素が結晶化したもの。魔物というのは、その魔素の結晶によって生み出されるとされていた。そしてこれはまた、魔法の研究に利用されている。
ギルドではこの結晶を換金でき、クエストの報酬以外の貴重な収入源だった。
「さぁ、デビュー祝いだ。キミに上げるよ」
「本当ですか!?」
リュカさんはそれを惜しむことなく、ボクに手渡す。
よかった。これで、数日は寝床に困らない。
「しかし、キミはまだ実力を隠しているのではないかな?」
「……え?」
そう思って喜んでいると、ふいに彼女がそう言った。
言葉の意図は分からずに首を傾げていると、そんなこちらを見てリュカさんは静かに笑う。本当にどうしたというのだろうか、と。
そう考えている矢先だった。
「危ない、ヘリオス!!」
「え!? な――」
後方に控えていたはずのミクリアが現れ、ボクにそう忠告したのは。
とっさに防御魔法を展開すると、明らかに強力な打撃がこちらを襲った。何事かと思い、そちらの方向を見ると、ボクよりも先にリュカさんが叫ぶ。
「な、何故この階層にヒュドラが!?」
「ヒュドラ……!?」
それは、危険度がS級に設定されている危険な魔物の名前だった。
九つの首を持つ蛇のようなドラゴンで、解毒不可能とされる強力な毒を秘めている。出会ったらすぐに逃げろ、というのが鉄則とされているのだ。
そんなヒュドラが、どういうことか――。
「……囲まれてる?」
――少なくとも九体。
ボクたちを取り囲むように陣取っていた。
本来、魔物というのは多くが単独行動を行う。しかし、
「通常時と異なる行動を取る魔物、か。これは――」
「危険、ということですね」
リュカさんの言う通り。
ボクはそれに続き、いまが非常時であることを確認した。
そして、この場合の行動をいかにするか、彼女の判断を仰ぐ。すると、
「私が前方のヒュドラに攻撃を仕掛け、隙を作る。そして、一気に抜けるぞ」
「…………分かりました!」
リュカさんは真剣な表情で剣を構えて、そう口にするのだった。
ボクはそれに応え、呼吸を合わせる。そして、
「今だ……!!」
ボクは彼女の声と共に、前方へ駆け出す。
途中でミクリアを回収して、そして後方を確認すると――。
「…………え!?」
そこには、信じられない光景があった。
何故なら――。
「リュカさん!!」
「キミたちは逃げろ! ここは、私が引き受ける!!」
ヒュドラの攻撃を受け止めながら、リュカさんがそう叫んでいたのだから。
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