4.人間と精霊、ミクリアの期待。
ここまでオープニング。
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――人間とは愚かな生き物だ。
過去の精霊たちは、そう言って彼らを理解しようともせずに交流を断った。それでも、ミクリアはどうしても納得できない。果たして本当に、人間は愚かな者ばかりなのか。
それは単に、先代の精霊たちの勘違いではないのか。
少女はそう考えて、一人で人々の前に姿を見せたのだ。しかし、
「み、みずぅ……!」
王都の外れで、ミクリアは脱水症状に陥りダウンしていた。
街行く人もみな見て見ぬ振りをしており、助けにきてくれそうな人間はいない。この時ばかりは、さすがの少女も「人間は薄情だ!」とか、考えていた。
だが、そんな少女に声をかけてきたのが、ヘリオスだったのである。
「あの、大丈夫……?」
そんな彼の姿は、ミクリアにとって輝いて見えた。
それに、彼女好みのベビーフェイス。黒の髪に円らな青の瞳をした少年は、困り顔で少女を助けようと奔走してくれた。
そんな彼の恩に報いようと、名前を聞こうとするミクリア。
すると、少年はどこか急いだ様子で言った。
「名乗るほどの者ではないよ」――と。
……なにそれ、カッコいい。
ミクリアはその瞬間、心が弱っていたこともあってか、完全に心を射抜かれた。そして数日後、街で彼を見つけ出して――。
『一つだけ願いを叶えてあげる!』
物語は、そうやって始まったのだった。
◆
「ふふふ、可愛い寝顔……」
ベッドから顔を覗かせて、ミクリアは床で眠るヘリオスを見た。
相も変わらず幼い顔立ちの少年がお気に入りらしく、少女はどこか蕩けたような表情を浮かべている。そしておもむろにベッドを抜け出すと、少年の傍へと移動した。
彼の顔を覗き込んで、ふと考えるのだ。
「ヘリオスなら、もしかしたら……」
もしかしたら、精霊たちの考えを変えることができるかもしれない。
ほんの少しだけ手助けしただけなのに、素晴らしい能力を発揮してみせたヘリオス。それだけでなく、誰かを助ける心を持って行動できる、素敵な人間性もあった。
恐怖に打ち勝つ勇気など、そう簡単に手にできるものではないのだから。
「うん、頼りにしてるよ。……キミには」
彼の髪に軽く触れて、ミクリアは優しく微笑む。
そして、当たり前のように『添い寝』をするのだった……。
翌朝、目を覚ましたヘリオスが絶叫したのは、言うまでもないだろう。
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