3.恋する【大精霊】
次回でオープニング終了予定!
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「それで、結局ミクリアはボクになにをしたの?」
「キミの願いは『中途半端は嫌だから、強く』だったでしょ? だから少しばかり細工して、これまでの努力相応の力が出力できる『加護』を授けたんだ」
「努力相応の力の……『加護』?」
「そうそう」
ダンジョンからの帰り道で、ボクはミクリアに彼女のしたことを訊ねた。
すると、返ってきたのは耳馴染みのない『加護』という言葉。ボクが首を傾げていると、彼女は何度も頷きながらこのように教えてくれた。
「精霊が人間とかかわりを断って、かれこれ千年は経つんだけど。かつては人に精霊たちが特別な力を授けて、一緒に戦っていたんだよ?」――と。
それを聞いて、ボクは少し納得した。
彼女の言う通り【大精霊】など、そのような言葉が出てくるのは、いわゆる『御伽噺』の中でだけ。精霊の存在すら空想のものだと語られ、そもそも誰も信じていなかった。ボクの場合、実際にその『加護』を得て戦ったので信じるしかないが。
しかし、それにしても――。
「でも、ミクリアはどうしてボクに『加護』を……?」
「ん……?」
気になるのは、そこだった。
この少女――曰く【大精霊】は、何故ボクなんかに力を与えたのか。少しだけ眉をひそめて訊ねると、ミクリアは仄かに頬を赤らめながら言う。
「えぇ……? もしかしてキミ、天然さん?」
「天然? どうしてさ」
「女の子に、同じことを言わせるつもりなのかい?」
「同じ、こと……?」
ボクが首を傾げると、少女は少しだけ不服そうだった。
いったい、自分はどんな失態をしたのだろう。そう考えていると、
「もぅ、しょうがないなぁ……」
ミクリアは軽く頬を膨らせながら。
しかし次いで、愛らしい顔に大人びた表情を浮かべて言うのだった。
「アタシは、キミに恋をしたんだよ?」――と。
直後に、やはりはずかしくなったのか。
途端に顔を真っ赤にして、彼女はそっぽを向いてしまうのだった。
「…………マジですか」
だけど、ボクはそれどころでなくて。
正直に言ってしまえば、またも困惑に頭の中を支配されるのだった。
◆
――ところで、これは余談なのだけど。
「あ、そういえば……」
「どうしたの、ヘリオス?」
街に到着したボクは、ふと手持ちのお金を数えてみる。
すると、ある事実が判明した。
「宿代が、一人部屋分しかない」――と。
それはつまり、どちらか一人は野宿、ということになるのだが。
ミクリアは何を考えたか、このようなことを言った。
「二人で一部屋、一つのベッド、添い寝……つまり、間違いが起きるんだね!?」
「起きないよ!? なんてこと想像してるのさ!!」
ボクは頭の中がピンクになってしまった【大精霊】を説得し、結局のところ、自分は床で寝るという選択を取るのであった……。
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