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9.共同戦線の末に。

コミカライズ情報出ました(*‘ω‘ *)

詳しくは今月号のコンプティーク、次号告知にて!








『ぼくが時間を稼ぐから、キミはその隙に魔力を最大限高めてて!』




 ティオルはそう言うと、地下水道の出入り口の方へと向かった。

 いったい、どのようにして時間を稼ぐというのだろうか。マナリーはただ唖然として見送るしかできず、今さらになって不安に駆られていた。どう考えても、あのように小柄な少年が大人の男性二人を相手にして無事で済むわけがない。

 だからといって、自分が出て行っても結果は変わらないだろう。

 要するに、事態は八方塞がりなままだった。



「馬鹿じゃないの……どうして……?」



 それなのに、どうして彼はあんな笑顔を見せたのか。

 敵うはずがない。そして、そもそもどうして――。



「魔物の子が、わたしに協力なんて……」




 ――異なる存在。

 敵対関係であろう相手だというのに、力を合わせようなどと言えるのか。マナリーの頭の中には、そんな何故が巡り巡っていた。果たしてティオルを信じるべきなのか、どうか。もしかしたら、ここまですべてが計算で、自分の銀時計を売り渡すのが目的かもしれない。金銭が欲しいのなら、十分にあり得る話だった。

 だがしかし、そこまで考えてから少女は首を左右に振る。

 金銭を目的にするのであれば、ここまで回りくどい方法を取る必要がない。そもそも彼は一度、奪われかけた銀時計を取り返してくれた。



「だったら、わたしだけ逃げて……?」



 そこでふと、次に脳裏を過ったのは自分だけ逃げる選択肢。

 この地下通路はたしか、ダンジョンから程近い洞窟に繋がっているはずだった。魔物は中級程度の強さだから、上手く立ち回りさえすれば生き延びることができるはず。

 でも、そんなことをしたら――。




「……アイツが、殺される」




 きっと、ティオルは死んでしまうだろう。

 あの男たちの目は、本気だった。街の中に溶け込んでいたものの、すでに何人かは確実に殺めているだろう。今さら子供が一人増えたところで、良心の呵責などあろうはずがなかった。

 そこまで思考を巡らせ、マナリーは……。




「あぁ、もう……! 分かったわよ!!」




 ガシガシと頭を掻きながら、言われた通りに魔力を高め始めた。

 こうなったらもう、細かいことは気にしていられない。

 あくまで今は、生き残ることが最優先だ。

 だから仕方ないのだ、と。



 少女は指示された方向目がけて、意識を集中させるのだった。









「こ……んの、ガキが!」

「無駄に逃げ回りやがって!!」




 男二人は、素早いティオルの動きに翻弄されていた。

 ここは街中と比較して、魔素が濃い。ダンジョンの奥ほどではないが、この場所であれば多少なりとも少年の身体能力は強化されるのだ。だがその絡繰りを考慮しても、ティオルは彼らの攻撃を回避するのが精一杯。

 真正面から戦いを挑むなんてことは、無謀だとしか言いようがなかった。

 だから、ティオルにできるのは時間稼ぎでしかない。



「こっちだよ、オジサンたち!」

「誰が、オジサンだっての!」



 挑発し、煽り立てながら狭い空間を最大限に使って逃げ回る。

 あと少し、あと少しだけ時間を稼げば大丈夫なはず。ティオルは周囲の魔力の流れを確認しながら、どのタイミングで合図を送るかに意識を傾けた。

 だが、それが不味かったのかもしれない。



「……あ、しまっ――」




 ここは地下水道だ。

 足場が濡れて不安定な箇所は、当然に存在する。

 ティオルはほんの一瞬だけ、体勢を崩すこととなった。時間にして一秒にも満たないそれだが、相手もそれなりの手練れだ。隙を見逃すはずがない。




「おらぁ!」

「――が、は!?」




 渾身の力で顎を打ち抜かれ、ティオルの視界は揺らいだ。

 膝から崩れ、目の前が明滅を繰り返す。そして、




「この野郎、手間かけさせやがって……!」

「ぐ、うぅ……!?」




 乱暴に首根っこを掴まれ、身体を持ち上げられてしまった。

 こうなってしまっては抵抗する手段がない。ティオルは揺らぐ思考の中で、必死に打開策を考えるが妙案は浮かばなかった。

 それでも――。




「……あ? なんで、笑ってやがる」

「さっきのでおかしくなったのか?」




 彼は安堵して、小さく口角を上げていた。

 そして、最後の力を振り絞ってマナリーへ合図を送るのだ。





 隠し持った小石に魔力を込めて。

 輝くそれをティオルは、無理矢理に投げ放つのだった。






「なっ……!?」

「うわ……!!」






 すると直後、三人の足元には巨大な魔法陣が展開される。

 男たちはとっさにティオルから手を離し、そして即座にこう判断した。




「不味いぞ、このままだと殺される!!」




 この魔法を喰らえば、命がない。

 彼らは苦虫を食い潰したような表情で、舌を打つのだった。




 


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