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婚約破棄ってかっこいい…ですって!?

ほのぼのしてます。


「かっこいいよなぁ婚約破棄」

聞き覚えのある声に思わず足を止めてしまう。

空いた窓の向こうをうかがうと、数名の同級生がたむろっている。

その中には、私の婚約者の姿も見えた。

「婚約破棄って、この間のやつか?」

「卒業パーティーで生徒会長が副会長との熱愛を告白して、婚約者だった令嬢の悪事を暴いて逮捕させたやつ」

「そうそう、めちゃくちゃかっこいいよなぁ」

婚約者である伯爵令息のうっとりした表情に、周りの同級生達が戸惑いの声を漏らす。

「かっこいいか?」

「卒業パーティー台無しになったじゃん…」

「俺もうちょいローストビーフ食べたかったのに…」

「え?何おまえ、婚約破棄したいわけ?」

問いかけに私の心臓が跳ねる。

盗み聞きは良くないと頭では分かっているが足が動かない。

「そりゃ、一度はやってみたいだろ」

婚約者の声に、頭のなかが真っ白になった。



私と彼とは、小さい頃親に決められた婚約者同士だ。

海側にある我が領土と山の幸が豊富な彼の領土、交流を盛んにする為に結ばれたものだが、家柄も釣り合い、穏やかに結ばれたものだった。

私は彼に燃え上がるような恋心を感じたことはないが、それでも婚約者として語り合い、互いの領土を訪ねあい、美味しいものを共に食べ、パーティーで踊り、そして今年同級生として同じ学園に入学した。長年の付き合いで「この人となら結婚後も穏やかな家庭を築けるだろう」と思ってた。

てっきり彼も同じ気持ちだと思っていたのに、まさか婚約破棄を望んでいたとは。


彼に捨てられるかもしれない、そう思った途端、楽しかった思い出が波のように押し寄せて、胸がぎゅっと痛んだ。

ああ、そうか、私は彼に、きちんと恋をしていたのか。

それをこのタイミングで自覚してしまうとは、なんて愚かなんだろう。


彼のためには婚約破棄を受け入れるべきなのか、すがりつけば、話し合えば、まだ間に合うのだろうか。

彼の表情を見ようとそっと窓の外を覗いたとき、また会話が聞こえてきた。


「じゃあすればいいじゃん、婚約破棄」

「するなら早い方がいいだろ、相手のためにも」

「バカ言うなよ、出来るわけねぇじゃん」

「なんでさ?」



「婚約破棄したら、結婚できなくなるだろ?」



彼の言葉に、話していた同級生達の頭に「?」が浮かぶのが見えた気がした。ちなみに私の頭にも浮かんでいるはずだ。


「おまえ婚約破棄したいっていったじゃん」

「そうだよ、でも婚約破棄したらアイツと結婚できなくなるだろ?それは困るから出来ねぇんだよ」


ますます意味がわからない。

私がその場で固まっていると、頭を抱えていた同級生が「あ」と顔を上げた。


「おまえがしたい婚約破棄って、悪いやつをみんなの前で追い詰めて懲らしめたいってこと?」

「そうだけど?」


「おまえ、それ、婚約破棄がかっこいいんじゃねえじゃん」

「なんだよ、伯爵令嬢と別れるのかと期待したのに」

「て言うかなんだよおまえ、結婚できなくなったら困るってベタぼれじゃんか」


同級生達が総ツッコミを入れる。

「なんだよ、俺がアイツと別れるわけないじゃん。アイツ以上に可愛い子なんていないだろ」

どうして伝わっていないのかがわからないようで、彼は口を尖らせる。

「いやフツー婚約破棄したいなんて言ったら婚約者に不満があるとしか思えねぇだろ」

「アイツに不満なんてあるわけないだろ?可愛いし、勉強家だし、怖いお袋とも仲良くできるように苦手な刺繍頑張ってるし、俺の山歩きにも付いてきてくれるし、悪いとこ一個もねえじゃんか」

「いやおまえ令嬢を山歩きに連れていくなよ」

「てか悪いやつを懲らしめたいなら法務省とか目指せばいいんじゃねぇの?お前次男だろ?兄ちゃんが継ぐならお前は王都で働いてもいいんじゃねえの?」

その言葉に彼がパァッと顔を輝かせる。

「成る程そっか!ちょっとアイツと相談してくるわ!」

言うが早いか私を探しに行った彼が、近くの窓で赤くなった顔を隠してうずくまる私を見つけるのは、この十分ほど後のはなし。

婚約破棄もの、大好きなんです。でも皆幸せになってほしいのでこうなりました。

誤字報告ありがとうございます!

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