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結局、18箱捌くことができた。

男性から証明書をもらい、ギルドへギルド証と一緒に提示することでお金がもらえるらしい。


「こちら2700ネルです。ギルドポイントが3ポイント付属します」

入り口入って正面の受付で証明書とギルド証を提示すると、受付のお姉さんはお金をトレーに乗せて渡してくれた。

そして手元でギルド証を光らせると、ギルド証も同じくトレーに乗せる。


ギルドポイントというのは、依頼によって変わり、次のランクへ変更するためにためて行くものである。

今の私はFランクなので、Eランクに上がるには30ポイントが必要なのである。

依頼の失敗はポイントが減り、ランクが落ちる可能性があるので、受注しての依頼には注意が必要らしい。


私は2,700ネルをポケットへしまう。

ちなみに通貨は1ネル、5ネル、10ネル、50ネルは硬貨で、100ネル、500ネル、1000ネルとは紙幣である。

つまり私は5枚の紙幣を持っているのである。


ギルドを出て、ランちゃんがイチオシと言っていた宿屋へと向かう。

向かい合う蛇の間にトロフィーカップが描かれた看板が目印のお店だ。

この目印はケルジヘビ王国の国営の印である。

国営は国からの補助があるので値段が安く、サービスもそこそこよいというのが売りだそうだ。


国営の宿は何軒かあるが、ランちゃんイチオシが『ヤドクラス』という名前の宿屋である。

その宿屋はペンションのような作りで、正面入って受付があり、右に食堂、左に共同のお風呂やトイレがある。

受付横に階段があり、2階、3階とそれぞれ9部屋の客室がある。

客室内にもトイレがあるのは、この『ヤドクラス』だけらしい。


「すみません。空いてますか?」

ヤドクラスに入り、受付にいたふくよかな体型の女性に空室状況を聞く。

これで満室だったらほかの宿を探さないといけない。

「空いてるよ。食事ありが1泊2500ネル、食事なしで2000ネルだよ」

「食事なしでお願いします」

私は、2000ネルを渡しながらそう伝える。

「はーい。ついてきて」

女性は2000ネルを受けとり金庫にしまうと、後ろのキーボックスから1つの鍵を取り、階段を登る。


2階の突き当たりから1個前の右側の部屋を開けた。

「ここだよ。退室はお昼だから連泊するならお昼までに連絡してね」

「ありがとうございます」

女性は部屋から出て、階段を降りて行く。


机とベッドだけの簡素な部屋だが、そこそこの広さがあり、落ち着くことができる。

トイレは入って左の扉にあった。

「お昼までにあと、1300ネル集めないと宿探しからまた始めないとなのか」

運良く一発目で入れたが、明日はどうかわからない。

朝の8時から活動したとして、11時までの3時間で2000ネルを目指したいところだ。

今のうちに明日の仕事探しとこうかな。


17時のチャイムが聞こえたところで、腹ごしらえで食べ物図鑑からオムライスを召喚し、スプーンがないことに絶望した。

お預けされている犬状態だったが、なんとかサバイバル大全集にスプーンを見つけ食べることができた。 

腹ごしらえを終え、部屋からでてもう一度ギルドへと向かった。



18時のチャイムが鳴った頃にギルド前に到着したが、ギルド裏の路地から怒声が聞こえる。

実はギルドの裏の小道には町役場の職員さんたちの食事処が昼間にオープンしているのだが、その場所が夜には酒場に変わるらしい。

場所的に柄の悪い連中が多く集まるため、近づかない方がいいとランちゃんに教わった。


まだギルドが閉まっていない時間帯だが、その喧騒は大きくなっていく。

無視をしようと思ったが、聞こえてきた声に聞き覚えがあり、思わず見にいってしまった。

そこには4人のいかつい男性に囲まれながらも、何かを守って勇敢に立ち向かうランちゃんがいた。


「ランちゃん!」

「お姉ちゃん」

私は慌てて男とランちゃんの間に割り込んだ。

ランちゃんは遠目からは気丈に見えたが、体が震えており、ところどころ泥で汚れていた。

「割り込んでくんなや!」

男どもから威勢のいいセリフが飛んでくる。


「なにがあったかわかりませんが、小さい子を大勢で囲うのはやりすぎではありませんか?」

私は恐怖心を隠しながら、冷や汗を流さないよう、できるだけゆっくり喋ってみる。

「後ろのガキが依頼金の融通してくれないのがいけないんじゃないの」

「俺らは優しく、貸してくれって頼んだのによぉ」

その言葉で、男どもはお金をカツアゲしようとしていたのだとわかる。


子供からお金をカツアゲするとか、大人として恥ずかしくないのか!

「お姉さんも怪我しないうちにお家に帰った方がいいんじゃないの?」

男どもがゲスな声で笑う。

私は喧嘩は強くないので、ブラフをかけてみる。


「女だからってなめてたら、痛い目みるのはお兄さんたちだよ」

私は動物図鑑を取り出し、適当にページをめくり、ライオンを目の前に召喚した。

『ガオ〜』

ライオンは目の前の男たちに牙をむき出しにしながら唸る。

ライオンのむき出しの歯を目前に見た男どもは、声にならない悲鳴をあげてよたつきながら逃げていった。


「ランちゃん大丈夫?」

「ランは大丈夫。お姉ちゃんありがとう」

後ろの子は大丈夫かなと、ランちゃんからさらに奥に目をやる。

ランちゃんと同じ年くらいの、ケモミミの男の子だった。同じ狼かな?


「君も大丈夫?」

「……うん。ありがとう」

男の子はなんともないと、立ち上がろうとするが、膝を擦りむいでいるのか、痛そうにしている。

「ちょっと待って」

私は、男の子にその場に立ち止まってもらい、膝に手をあて、治癒魔法スキルボードの傷(小):10の項目をタップしてみた。

男の子の膝が淡く光、光が消えると傷も消えていた。


「すごーい」

後ろでランちゃんが感動しているなか、男の子は呆然と自分の膝を眺めていた。

「お姉さん、治癒魔法使えるの?」

「一応だけどね」

男の子の問いに苦笑いで私は答える。なんたってジョブをつける際に付属でついた女神の加護のさらなる付属で手に入れたものだからね。

棚からぼた餅もいいところだね。


「お母さんが病気なの。助けてくれない?」

男の子はそういうと、善は急げと私の返事を聞く前に、私の手を取り走り出す。

いや、獣人族の運動能力ってパネェのよ。

途中で私が遅すぎたのか、10歳の男の子に姫抱きされながら町を進んで行く。

お姉さんもう、この町歩けないかも……。


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