↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/26

2

ウーガを仲間にしてから、他のもふもふにも興味が湧いた。

あの毛のふわふわした触り心地が中毒になってしまったのだ。

手始めに動物図鑑や鳥図鑑などを見ながら、良いもふもふを探してみた。


大きいサイズでは、常時召喚しておくのが難しいので、できればウーガと同等のサイズが望ましい。

小さすぎると歩幅が合わないし、踏んでしまうのも怖いしね。

そこで見つけたのが、シマエナガ。


雪の精霊とも呼ばれる北海道に生息する可愛い鳥である。

フワッフワの真っ白な羽毛、丸いフォルム、つぶらな瞳その全てが愛らしい。

これだと決めて、どうせならと数十匹召喚して見た。


新居の部屋がシマエナガだらけの空間になってしまった。

ちょっと失敗したなと思ったが、そのシマエナガたちはなんと情報収集が得意なんだそうだ。

この子たちとは直接話すことはできないのだが、ウーガを通して会話することができたのである。


この子たちには自由に飛び回ってもらい、ウーガの術式を解く情報を集めて貰うことにした。

せっかくのもふもふなので、1匹だけ手元に残してしまったが⋯⋯。

飛べるので踏むこともないし、ちょうどいいもふもふである。



さらに、次のデートの日にはガイランクさんが新たな召喚カードを持ってきた。

ウーガの召喚カードと弓矢をトレードした相手を脅してきたらしい。

「脅しって人聞きがわりぃな。偽物掴まされたから詐欺だよなぁ、警察行かないとなぁって言っただけだし」

人はそれを脅しという。


「それで、新たに召喚カード奪ってきたんですか」

「奪ってねぇ。向こうから差出してきたんだ。⋯⋯まぁ、手持ちで1番強いやつ寄越してる筈だぜ」

そう言って渡されたのは、テールキャットという召喚カードであった。

イラストには普通のもふもふな可愛い猫が描かれている。


「全然強そうには見えないけどなぁ」

私はそのテールキャットを召喚してみた。

そこには、白と灰色の配色がかわいい、ふわふわの長毛のラガマフィンに似た猫が召喚された。

ちなみにふわふわで分かりにくいが、尻尾が2本あった。

「こっちは本物だな」


テールキャットは魔法系の魔物で、2本の尻尾から魔法を繰り出して戦うそうだ。

見た目はキュートなのに、補助魔法も攻撃魔法も使えるオールラウンダーな大変優秀な召喚獣だそうだ。

「もふもふだぁ」

猫は犬と違い、ツンデレだと聞いたことあるが、この子は抱っこもよしよしもウーガ以上にさせてくれた。


「犬に猫に、鳥にってもふもふまみれだな」

「本望です」

甘くはないが、ゆったりとした時間をガイランクさんと家で過ごしていたのだが、カーティさんが息を切らしながらやって来た。

「アズサ!」

慌ただしく家に入って来たカーティさんはガイランクさんなど目もくれず、私に抱きついて来たのだ。


「カーティさん、大丈夫?」

「ヤンクルが、ヤンクルが」

「ヤンクルになんかあったのか?」

カーティさんの言葉にガイランクさんも興味を示す。

全力疾走してきたのか、呼吸が荒いカーティさんを落ち着かせて、お水を渡しておいた。


「ヤンクルが家出するって。仕事も辞めて、町もでるからついて来てほしいんだって」

「はあ?」

あまりの急展開に、私は言葉を失い、ガイランクさんは声を荒げた。

「なんだって急に」


カーティさんの説明によると、異種族と結婚を前提のお付き合いをしているのを家族に猛反対され、交際を続けるなら縁を切ると言われたそうだ。

ヤンクルさんも好戦的に言い返して、その勢いで仕事にも辞表をだし、カーティさんに駆け落ちを申し込んできたそうだ。

ヤンクルさんもガイランクさんも護衛団での仕事も行なっているが、ギルドにも登録しており冒険者としてもたまに活動している。

そのため、護衛団を辞めて冒険者一筋で稼ぐから、別の町で一緒に暮らしてほしいと申し込まれたらしい。


「あいつ妙なとこ短気だし、頑固だから絶対意見覆さないからな」

「どうしよう、私ヤンクルと一緒に行きたいけど、アズサやリリィもいるからこの町から離れたくないんだよ」

どこか納得した感じのガイランクさんと、迷いに迷っているカーティさん。

随分と重たい話を持ってこられてしまった。


「そんな遠くじゃなくて、一番近くの町とかだったら、たまに会いに行けるんじゃない?」

「無理よ、あのヤンクルの様子じゃ、絶対すごく遠くに行くと思うわ」

反発して家を出て、実は近くに住んでましたじゃ、かっこ悪いからね。

ちょっと面倒な性格のヤンクルさんに恨み節を送りながら、良案を考えてみる。


カーティさんも唸りながら、考えているところに、私の肩にちょこんと乗っていたシマエナガがカーティさんの手に飛び移る。

「あら、かわいい」

カーティさんは手のひらサイズのシマエナガをもふもふして、少し心が落ち着いて来たように見える。

……これがアニマルセラピーか。


「私が決めないとだもんね」

もふもふすること数分後、カーティさんは覚悟を決めた顔をした。

そして、ヤンクルさんについて行くと、宣言したのである。

「多分、明日か明後日には出発することになっちゃうけど……」

「……寂しくなっちゃうな」

私とカーティさんは抱き合い、カーティさんの門出を祝うのであった。


残り少ない時間だからと、私とカーティさんは、夜通し話をした。

ガイランクさんは夕方前には、辟易として帰ってしまったのだが。

カーティさんとの話は尽きることがなかった。


次の日、我が家に泊まっていたカーティさんをヤンクルさんが迎えに来た。

そしてそのまま、今日の夕方には町を出ることが決まった。

私は見送りに行く約束をして、内商業区画で買い物に行くために2人と別れたのである。


購入品はもちろんカーティさんの結婚祝い品である。

もう、結婚して遠くに行くみたいなものだからね。

途中リリィさんも呼んで、2人であれこれ店を見て回った。

「カーティさん喜んでくれるかな?」

「絶対、気にいるよ。寂しくなっちゃうけど、ちゃんとお祝いしないとね」


2人で選んだのは、ブレスレットである。

厄除けや開運の意味をもつ鉱石を使用したシンプルなものを選んで見た。

夕方になり、門の近くで待っていると、大荷物を持ったカーティさんとヤンクルさんがやってきた。

私はカーティさんの手首に、プレゼントのブレスレットをつけた。


カーティさんはとても喜んでくれて、また会おうねと約束をした。

遅くなると危険だからと、あまり時間を取ることなく別れることになったが、ガイランクさんがギリギリ間に合い、ヤンクルさんになにか渡していた。

私と、リリィさんとガイランクさんと3人でカーティさんとヤンクルさんを見送ったのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。