抹茶と小豆とお米一緒に炊いて、生クリーム乗っけたら立派なスイーツ
二階に上がって真っ先に目に入ったのは、仙人だ。やっぱりというか、必然というべきか、こいつは普通のようで、学校のあれこれの影響を受けていないようだ。しかし、普段と違うところもあって、妙に深刻な顔をしておりかつ、手と手を組んでそこに顎をのせている。
ピカー(発光するメガネ)
「○ヴァにのれ、シン○」
「そのメガネ、買ったの?」
「手作りだ」
手製かよ、無駄に多芸なんだよなこいつ。
「桜花さんも、こんにちは」
『────』
「…………思うのだが君、僕よりハニーに対しての方が丁寧じゃないか?」
「問題ある?」
「1nmも問題はない!」
なら、いいじゃねえか。
ということで、仙人は客人じゃない。加奈も今更客人とは呼ばないだろう。
「卓也」
「はいはい?」
呼ばれた方を向くと、加奈の腕に抱かれたケモノがいた。真っ白の毛に、とがり気味の顔、ピコピコと動く一対の耳。
真っ白な狐さんだ。
『お久しぶりです、卓也様』
「あー、はいはい、お久しぶりです」
「お前、確実に覚えてないだろう」
そんなわけないよ?
狐の知り合いなんて、早々いるはずないじゃん。
「えー、あー、俺が生まれた日に、うちの両親の夢に出てきてお告げした、お狐さんでしょ?」
「そんな事実あるのか?」
あるかないかじゃない。″ある″ことにするんだ。
『仕方ありません、加奈様……』
へにゃりと悲しそうに、耳をペンっしゃんこにする狐さん。申し訳なさが俺のなかで沸き起こり、どうにか思い出さなければという感情も生起してきて。
『 あの日の卓也様は、番であるあなた様の可憐なお姿に夢中でございましたので。 そう、獣の論理に従えば、超繁殖してえまじやべえ辛抱たまらんもうまじ無理と「何を言い出すんだよこの狐ぇ!」
そして思い出したよ、京都の神社の野良お稲荷さんだよ、加奈と一緒に元の場所に戻してもらったやつ。あの日の加奈もかわいかったのは否定しないけど、そこまで頭ピンク色はしてなかった。
「その件については、既にしかるべき手続きを踏んだのちに、その、まあ、うん、もろもろと、あの、経験を私も、まあ、その、私の部屋が、一生の思い出に」
加奈も答えなくていいよ!
「マスター、あちらの二人に祝いのケーキを」
「誰がマスターよ。 お赤飯ケーキお待たせしましたー」
「頼んでねえわ」
ほらー、そんなこと言うから先生が反応してなんか持ってきちゃったじゃん。
あと、それは美味しいの?
赤飯とケーキ、要素的に喧嘩するとしか思えないんだけど。




