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視えるカレと陰陽師なカノジョ  作者: Wana-wana
学部三回生秋~
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ウシガエルさん達が大合唱

例えば、普段授業時間を余裕で超過する教員が時間よりもかなりはやく授業を終えた。


例えば、学内の購買でやけくそとしか思えないセールが始まった。


例えば、日中から何かに酔ったような集団を必ず学内で見かけるようになった。


例えば、食堂の新メニューとしてカエルが加わった。特に調理もされず、乱雑に首だけ落とされたものが出される。


例えば、教務部によって突然壁に真っ赤なペンキがばらまかれた。


例えば、教科書を全て焼くように指示するメールが大学から発信され、図書館前の階段では毎日火が上がっている。


例えば、学内を歩く猫の数が減った。


例えば、近頃妙にキャンパス内の地面が汚れている。



例えば、食人するために俺が友人から襲われた。


例えば。


例えば──。



『まあ、気づいてしまったんだろうな』

「そっかあ……気づいちゃったのかあ」


何にだよ。

危うく、前田から噛みつかれそうになったところを間一髪で助けてくれた白丸から、加奈の声がする。


『ズレにだろう』

「マジ?」

『マジだ』


まじかあ……。

ズレ、例えば俺なんかは生まれついて視ているそれ。普通の人ならそれには気づけないのだが、何故かそれに気づきやすくなっている、と。

それが、どうしてこんな奇行に繋がったのかは全くわからないけど。


『とりあえず、花風堂まで来てくれ』


従うしかないっすね。

放置しておくと気絶している前田がどうなるか怪しかったので、部室に放り込んでおくことにする。


『myaaaaan』

「急に猫に戻られると、結構焦るんだけど」

『みゃーん』

「やらんでええわ」


頑張ってチャリに前田を乗せて、部室棟に向かい、無事に学校からの脱出を果たした。


「いらっしゃーい」

「どうもー」

『myam』


いつもと変わらない花風堂。

ほっと息をつく。

バタバタバタバタ、と加奈が二階のカフェスペースから降りてきた。


「無事か」

「お陰さまで無事です」


白丸が強いのなんの。お礼に煮干しをあげるとごろごろと喉を鳴らす。


「卓也くん、それ常備してるの?」

「家族から鞄に突っ込まれました」


曰く、白丸を見つけた時点で餌をやれと。うちの身内、白い猫又に骨抜きにされすぎだろ。


「怪我は」

「ないけど」


確認のためか、猫っぽい耳と狐っぽい耳を生やした女に全身を触られる。


「嘘はついていないようだな」

「うん……ところで」


耳に触れようとしても触れず、しょうがないのでそのまま頭をポンポンしておく。いつぞやのやつと一緒のことが起こっているのか?

もしかしてこれも、大学のあの状態と関係があったり。


「ああ。 これの話は、上でしよう。 客人も来ている」

「客人?」


誰だ。

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