文化祭実行委員会が購買部でエナドリ買い込んでて遠い目をしたあの頃
連休明けのド平日である。
今回の大型連休は、最後の二日が土日というパターンだったので、ただでさえ魔の月曜日が、もはや魔王の月曜日になっている。自分でも訳が分からないことを言ってるけど、そんだけ疲れてるんだよ。
「それで、学祭の準備はどうなってんの?」
「はあ、まあ、恙無く、やる気なく進んでます」
うーん、実に低いモチベーション。これでこそ、わが部活の学祭準備だ。
うちの大学ではいわゆる学祭が、二度開かれる。春祭りと秋祭りだ。これは、大学同士が大人の事情で統合された名残だそうだ。
で、基本的には秋祭りの方が出店数とか、客入りとか、もろもろの規模が大きい。理由は知らない。
そして、伝統的にわが部活動は春祭りに出店することが代々決まっているのだ。
「そもそも、出店する意味、あるんですか……?」
「お前らの代も、その真理についに気づいたか」
例えば、文化系の部活やサークル。これらは、ここを引退の焦点にしたり、活動発表したりと、それなりにやるべきこともある。
一方で、運動系の部活やサークル。こっちは活動費を稼ぐというモチベーションが、あるところもある。
では、運動部であるわが部活はというと。
「あんまり活動費に困ってないんですよね」
「せやねえ。 うちは、OB会が支援してくださるからな」
「あの使い道不明金って、そのままプールしとくんですか」
「使ってくれて一向に問題ないよ」
確か、部活の口座に少なくとも3桁万円あるらしい。代々、『このお金使って良いと思うんだけど、なんか使ってうるさ方(OB)に言われるとめんどうだな……』といった理由で使われなかったんだ。俺達の代は、買い換え時だった用具を買い揃えるのに使ったけど、それが数年振りの口座からの引き出しだったそうだ。
「大体、本気で稼ぐんだったら、春じゃなくて秋の方に出せよ、名も知らぬOB!」
「いやー、しっかり部活を運営できてるようで、お兄さん嬉しい」
「手伝ってください、なんなら先輩方の代だけで全部回してください」
「やだ」
手伝うのは吝かではないが、確実に人手は足りてるし、全部回すのはもう去年やったから、もうこりごりだ。
「大体、春に店を出すのも、出会いを求めてとかそんな下らない理由でしょうが……!」
「鋭い」
理系大学たるわが学校は、どうしても男子が多くなる。十数年前ならなおさらだ。で、野郎しかいない運動部に、『夢のキャンパスライフはこんなもんじゃねえ! 俺達の夢は実在する!』と言って(実話)、当時女子大と合併したての時に出店したのが初だそうだ。春祭りは、合併前の女子大の学祭の名残なのだ。
「つーわけで、差し入れしてやるから、何がいい?」
「クリーチャーを一箱お願いします」
「りょー、また同期連中と冷やかしに来るわ」
「ついでに、手伝ってください」
「ムリ」
しかし、結局差し入れをすることにはならなかった。
今年の春祭りそのものが、開催できなくなってしまったのだ。
そして、それは、俺の人生において、最も怪奇だと断言できる事件に繋がる。