ビジュアルだけで害虫扱いされるかなしき虫さん達
カメムシゴキブリゲジゲジヤスデイモムシカミキリムシミミズナメクジ。
これなーんだ。
正解は、目覚めてすぐの俺の布団にばらまかれた虫さん達だ。
「佐伯ぃぃぃぃ!」
「ここには、佐伯はいっぱいいるが」
「加奈ぁぉぁぁぉぁ! これは! ない! 人として! やっちゃだめなライン!」
「そうは言うが、これは歴史上の人々が繰り返してきた拷問のアレンジだから、人がやっても問題はないと思うが?」
「現代日本では拷問は法律上禁じられてるよ!」
毒もちの虫さんはばらまかれてなかったのは、せめてもの情けなのか。
「有言実行してるだけなのに」
「アクロバットな拗ね方っていうのがこんなにも能動的とは思わんよ」
拗ねてるというか、シンプルに報復だしこれ。
しかし、加奈の表情は唇を尖らせていたり、まあ本当に拗ねてるんだなと思わせるようなもので。
「勝手にあの馬鹿と協同して、当事者である私を蚊帳のそとに置こうとしてたし。 あのバカの方は、私を隔離しても私にバレてても問題ないように思っていたようだが」
こんこんこん、と頭を胸にぶつけられる。
仙人のやつは、どこまで意図してたんだろうか。
「今後、勝手に私を蚊帳のそとに置くようなことをしたら」
「したら?」
「ここにばらまく虫が、全て毒虫になると思え」
「なるべくこんなことがないように努めていきたいと思います」
でも、加奈から隔離しておく方が良いと俺が判断したら、その方が加奈のためになると思ったら毒虫も甘んじて受け入れようとは思う。
「それに」
ぶつけられる頭の、勢いがすごいものになってきた。こんこんこん、というものから、ドスガスゴス! っていう感じに威力が増している。
「過程吹っ飛ばして、しかも雰囲気も糞もないところであんなこと言い出すし」
「返す言葉もございません」
利用する形になってしまったわけで。加奈への想いは、昨日あの場で言った通りでそこだけは信じてもらいたい。
「別に言葉は返してもらわなくていいから、ちゃんと別の言葉を私によこせ。 取引先に契約更新を願い出る感じで」
「えー、この度は改めて契約を更新させていただきたいと思います。 友人から、新たな関係性になることで」
「長い、要約」
リクエスト多いですね。
「末長く、何卒よろしくお願いします」
ぎゅうぎゅうと締め付けてくる二つの腕が答え。俺もゆっくり腕を回した。
「それで、この虫さん達はどうすれば」
「捕まえろ、あとで使い道があるから殺虫剤はなしだ」
「加奈の布団の方にも散ってるけど」
「………………」
仲良く虫取りに励んでいたら、午前中が終わってしまった。
ちょっと改稿しないといけない部分が大分出てきてしまったのでぼちぼち進めていきます