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視えるカレと陰陽師なカノジョ  作者: Wana-wana
学部三回生秋~
71/97

意外とうるさい、鳥の鳴き声

ホーホケキョホーホケキョ。

ケキョケキョケキョケキョ。

クエークエークエークエー。

ホッホッホホーホッホッホホー。


「うるさ!」


大自然の合唱隊によって俺は半ば強制的に覚醒させられることになった。

スマホの時計を確認すると、六時半少しすぎくらいだった。普段ならまだまだ寝てる時間。


「おはよう、卓也」

「おはよ」


そういえば、俺は今加奈の実家に訪問してるんだった。当然ながら、昨夜到着したのは夜遅くだったので、御挨拶もそこそこでさっさと就寝することになったのだった。

ちなみに、当たり前のように加奈と同じ部屋に放り込まれました。


「えらく、早起きだね」

「私は毎日、これくらいの時間には起きている」

「そうなの?」


ここ最近、一応ひとつ屋根の下で生活してたはずなんだけど、知らなかった。


「俺と一緒くらいの時間に起きてたものとばかり」


2限始まりの日なんかは、少なくとも9時頃までは寝てると思ってた。


「ちょっと早めに起きて、布団で無意味にスマホをいじるのは楽しいぞ」

「分かるー」


時間を浪費してる感覚がたまらないんだよね。


「まあでも、今日は多分偶々だとは思うが、いい時間に起きたな」

「いい時間?」

「朝ごはん、30分前だ」


確かにいい時間だ。寝癖直せる。


洗顔、歯磨き、寝癖を直すどころか髪型のセットまで済ませられた。相手方のご実家で寝癖姿をさらせるほど豪胆ではない。

加奈の先導で、廊下を歩く。分かっていたことだが、この家でかい。そして、この前の仙人のズレ空間の再現度が高かったということも分かる。


「迷子になりそう……」

「なるぞ、ほぼ確実に」


断言されちゃったよ。


「そういう風に造られているからだ。 お前は視れるとはいえ、そっち系の知識はないに等しいだろ?」

「せやね」


俺は、実践に基づくというか遭遇に基づいた、怪異的存在の姿と基本的な伝承(図書館で借りられる書物由来)の知識くらいしかない。


「慣れるまでは、私か他の誰かに案内してもらう方がいいだろう」

「そうさせてもらいます」


さっさと慣れないと、トイレとかお風呂とか大変だなあ……。


純和風な家屋かと思いきや、案外そうでもない部分もある。

案内された部屋は、フローリングにテーブルという普通のダイニングだった。


「おはよう~」

「おはよう」

「おはようございま…………ぎゃっ!?」


まって、呼吸できない。なんか、張り付いてる!?


「姉さん、準備するものある?」

「んー、特にないから卓也君を助けてあげて~」

「卓也。 動くなよ」

「うごくごご(最初から動けないです)」


ベリベリベリベリとガムテみたいなものが剥がれる音がする。

あー、えらいめにあった。加奈の手にあるのは、白い紙だった。

これが、俺に張り付いて来たのか。偶然ではないと思うので、多分ズレ由来のものなんだと思うんだけど。


「紙製のルン○みたいなものだ」

「いくらなんでも説明が雑よ~」


炊事洗濯掃除なんでもござれなアイテムだそうだ。


「シキだ。紙に鬼と書く」

「へー」


俺に張り付いて来た理由は、


「新鮮な反応を欲してたんだろう」

「どういうこっちゃ」

「使役者が、イタズラ好きだとこうなるし、厳格だとすさまじく規律だった行動をとることになる」

「そういうね」


そして、使役者は沙彩さんだそうだ。

…………イタズラじゃなくて、私怨混じってないですか。

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