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視えるカレと陰陽師なカノジョ  作者: Wana-wana
学部三回生秋~
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コーヒー牛乳という商品がなくなって久しい今日この頃

これは、俺の体験に基づく話なのだが。

妖怪なんかとは違っていわゆる幽霊はいろんな所にぽつぽついる。妖怪とか都市伝説の類が少ないということではなくて、幽霊はあまり条件に縛られない類いの奴が多いという感じだ。

例えば、妖怪なんかは分かりやすいが小豆洗いなんかは大体水辺に現れる。一方で幽霊は、地に縛られる真面目な奴と、どこでも好き勝手に特に理由なくふらふらしてる奴がいるのだ。

いや、好き勝手にしてるように見えてちゃんと理由のある奴もいるんだろうけど。

でも、フェス会場とかアイドルの握手会、人気漫画家さんの家とかに出る奴は絶対観光気分だろ。


そんなわけで、今日のバイトは。


「脱衣場のゴミ箱は、良く確認しておけよ。 ここに隠れてやり過ごそうという不埒な輩が良く潜んでるからな」

「ゴキブリかな?」

「一匹いたら、その十倍は潜んでいるぞ、女風呂に居座るような幽霊は」


銭湯の掃除だった。

ゴミ箱を開けたら、本当にバッチリ目があって気まずそうに会釈してきた。

え、なに?

男だから、気持ちわかるだろ、見逃せ?


「さえきー。 掃除機かしてー」

「ほれ」


吸引力の変わらないただひとつのあれ。

我が家にある年代物の掃除機と違ってハンディタイプで非常にとり回しやすく。

ズゴゴゴゴズッポン!と景気の良い音を立てて、不審者幽霊おっさんどもは吸い込まれていった。


「幽霊って、本当に掃除機で吸えるんだ……」


脳内で、某バスターズのテーマソングがなりやまない。


「先生が、そのリメイクを見た次の日に作り上げてしまってな……」

「ああ……」

「従来のものよりも、よく吸い込むんだ」

「そりゃ、そういう道具だからね」


普通に便利だったことから、スタンダード装備になったそうだ。

因みに、元々は佐伯が今持っている竹筒みたいな奴だったらしい。


「二千年程度、この竹筒を使っていたらしい」

「はー」


除霊業界にもイノベーションの風が吹いているようだ。


洗面台の排水溝の中から幽霊(こっちは女の人だった)をズポポポポポズッポン!と吸い上げて、佐伯に一旦休憩を告げられる。


「女風呂が名残惜しいだろうが、少し外に出るぞ」

「要らんこといわんでええ」


一言多いわ。


銭湯の待合室で休むことになり、佐伯がフルーツオレを持ってきてくれた。


「はあー」


佐伯と声が重なった。滅多に飲まないけど、それゆえにたまに飲むとすげえ美味しいドリンクで喉を潤す。


「このバイト、結構あるの?」

「3ヶ月に一回程度だな、あるとしても。 なんだ、そんなに女風呂を、気に入ったか?」

「女風呂から離れろ」


ちょっと興味があったのは否定しないけど、そこまで執着しねえわ。

というか、当たり前だけど男風呂との違いもタイルの色くらいだし。


「残念なことに、この風呂掃除というか変態駆除は、専門業者が主に引き受けるから、そうそう先生に話が来ることはない」

「へー」


専門業者いるんだ。専門に出来るくらい、女風呂に溜まる幽霊多いんだ……。


「さて、もう一仕事だぞ、伊豆野」

「ああ、うん」


俺も立ち上がって、飲み終えたビンを回収箱に入れる。


「浴室が終われば」

「終われば?」

「今度はのむヨーグルトがもらえる」


ブルガリアらしい。

因みに、全部終わった後には白ばらコーヒーをもらった。


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