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視えるカレと陰陽師なカノジョ  作者: Wana-wana
学部三回生秋~
39/97

都市伝説と洒落こわの境界はどこ

詳細といっても、説明できることはほぼほぼない。

帰り道に、赤いコートの高身長なマスクをした女──十中八九口裂け女だろう。 むしろ、そうじゃない方が怖い──に出会って、間一髪で白丸の猫火によって救われただけだ。そして、なんならその口裂け女は、猫達のご飯になったようだし。


「なるほど」


ただ、予想に反して佐伯の表情は優れない。


「口裂け女に、間違いなさそうだな。早めに手を打つ必要がありそうだな」

「手を打つ?」


昨日、白丸がファイヤー!してくれたし、後処理までしてたはずなんだけど。


「お前は、昨日大分運が良かった」

「それはまあ」


猫又の式神さんが、俺んちに飯を集りにこなけりゃ、俺ひとりであれに出会っていたわけだ。

足のアザ程度ですまない怪我はしていた可能性もある。


「どこまで認識しているか分からないが。 いわゆる都市伝説で語られる部類のアレらは、特に危険性が高い。 何せ、最初から人間に害をなす存在として、こっちにやってくるから」


確かに。

俺は納得の首肯を返す。

昨日出会った口裂け女は、明らかにこちらに害をなすつもりだった。他の都市伝説も、神隠しや、人間に怨みをもっているものが多い。

妖怪なんかは、意外と割合的にはそういったものは抑えられている。なんだよ、トイレを覗いてくる妖怪って。


「それは、都市伝説自体が新しいものだからだ」

「新しいとか古いとか関係あるの?」

「ある」


佐伯は断言した。


「私達は、ズレに対する感度が高いと以前言ったことは覚えているな」

「うん」

「ならば、そのズレが私達のような存在以外にも、視えるようになる条件はなにかということは、考えたことがあるか?」


ない。


「食いぎみに否定しなくても…………。まあ、良い。 ざっくり言うと、恐怖を感じると視れるようになる」


なんとなくだが、佐伯の言いたいことが分かってきた気がする。


「もしかしてなんだけど。 都市伝説は現代人が恐怖を感じるように調整されてるってこと?」

「調整か…………うん、そうだな、その通りだ」


良くできました、と言って佐伯は飴ちゃんをくれた。

鼈甲飴じゃん。


「だから、妖怪は時にお前にとっては訳の分からん行動をとるものがいるし、反面都市伝説は、昨日対峙して気づいただろうが、シンプルに危険なんだ。 私達が、恐怖を感じる言い替えれば危険を感じるように、調整されているからだな」

「それは分かったけど……」


口裂け女に、手を打つ理由は?

昨日めってされてたと思うんだけど。正確には、にゃっ、かもしれない。


「単純な理由だ。 多分だが、今日にも復活しているだろう」

「まじで?」

「まじ。 それだけ、ちゃんとした手順以外で追い払うのは難しいんだ」


そういえば、以前のぬりかべさん部室塞ぎ事件のときに、そんなことを聞いた覚えがある。


「えーと、鍵だっけ」


追い払う手順そのものが、鍵のようなものになる。


「そうだ。 よく覚えていたな。 これをやろう」


ポマードをくれた。

うん、どんな手を打つか分かった。


「今日の帰りは、何時ごろの予定だ?」

「んー、部活もないけど五限あるから六時ごろかな」

「なら、その後昨日のところまで案内してくれ」


まあ、そうだよね。

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