表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
視えるカレと陰陽師なカノジョ  作者: Wana-wana
学部三回生秋~
35/97

液状化現象(猫)

大学から自宅までは自転車で30分くらいかかる。ちょっと遠いけど、電車通学すると乗り継ぎの関係で余計に時間がかかるから、結果的に自転車が一番便利だ。

原チャもありなんだけど、学内移動を考えると結局ノーマルチャリに落ち着いたのだ。

で、俺が愛用しているチャリは、いわゆるシティサイクルでスポーツタイプの格好いいやつではない。あれはあれで乗りやすいんだろうけど、かごは欲しいからね。部活のある日なんか、着替えが多すぎてバッグなんか背負ってらんないし。

そんなわけで、日頃は俺のバッグを運んでくれている大事な前かごさんには今、半分液体になりつつある猫が乗っている。


『nya…………』

「白丸、マジで家くんの?」

『nyohunosu』


そんな声出るんだ……。


「そんなに、家の煮干し美味しい?」

『mya!』

「そっか……」


当たり前だ、と返事する二又の毛玉。最初に鰹節を与えたのが間違えだったと思わなくもない。いや、母さんと侑芽がチュー○とかも与えてるせいな気もするけど。

野良猫には餌を与えてはいけない。餌を与えている人間がいなくなったときに、彼らが自ら餌を捕る技術を失ってしまう可能性が高いかららしい。あと単純に、フンとか家の庭でやられたりするし。

ただ、まあ、白丸の場合、多分餌がなくとも平気で生き続けるだろうし、フンなんかもしたことがない。

第一、野良猫じゃないからな。飼い主しっかりしろよと思うけど、式神が飼う飼われるの関係性なのかは知らない。


「太ってきたら、飼い主に相談かな」

『naaaaaa』



野を越え山越え谷越えてといえば、大袈裟だけど、俺の通学路にはそれなりに坂やら段差やらがある。

しかしながら、前かごの半液状物質は声をあげることもない。ガタガタ揺れてると思うんだけど、リラックスできてるのすごいよな。これが、猫に備わった能力なのか、白丸だからなのかは分からない。


「良く寝てるし」


ピクンと耳が動いたけど、それだけだ。

これ、自転車で転んだりしたら、飛び起きるのだろうか。


だんだんと大通りから離れて、住宅街に近づいてくる。街灯も、その数が減ってきて薄暗くなってくる。


そこに、それはいた。


背の高い女の人。

夜闇に負けない、真っ赤なコート。

そして、マスクをしていて。


『ねえ、私きれい?』


やばいやばいやばいやばいやばい。


『ねえ、ワタシきれい?』

「間に合ってます!」


俺は逃げた。

昔から、色々視てきたから経験から、コレはダメな存在だと直感的に分かる。

自転車のペダルを強く踏み込んで、加速。

だけど、ソレはすぐに追い付いてくる。


『ネえ、ワタしキれイ?』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ