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視えるカレと陰陽師なカノジョ  作者: Wana-wana
学部三回生秋~
34/97

オムニバス形式の講義、大体採点は授業後の感想レポート(偏見)

冬休みはあっという間に終わった。

初詣翌日から帰省していた佐伯の愚痴りまくり飲酒泥酔事件も大きな被害を出しながら幕を閉じた。教訓としては、あの女に酒を飲ませてはいけない。ナチュラル酔拳マスターだとは思わなかった。あと、絡み酒。

梅酒パックを一人で一本空けるのはアホなんよ。


佐伯黒歴史の話は一旦おいといて。


大学の長期休暇は春と夏が本番で、冬休みはお正月休みのおまけみたいなものだ。だから、すぐに終わってしまうのも仕方がない。

それでも残り数回の授業が終われば、今度は本番の春休みがやってきてくれるのだが、そもそも忘れがちだが大学は教育機関なので達成度の調査がある。

すなわち期末テストである。


「で、仙人はついに進級する気になったの?」

「面白いことを言うではないか卓也くん」


六回目の期末テストともなれば、学生各々が独自のテストを乗り切るノウハウを確立していく。俺の場合は、最終レポートがその授業の評価となる講義を選択するという方法を選んだ。

それで、今回は無事に3つの最終レポートをありがたくも拝領し図書館閉館まで貸し出しPCでレポート作成に勤しもうとしていたのだけど、そこで腐れ学生の頂点たる推定12留、仙人と遭遇したのだった。


「まさか、このぼくが進級などという些事のために、労力を費やすとでも? 君は、この一年間僕のなにを見てきたのかね」


あんたに関しては全然些事ではない。


「見てきた上で、聞いてんだよ」

「君は、労働の後の1杯のビールの旨さを知っているかね?」


なんでこの文脈でビールの話を始めたんだ、この変人。


「一説によれば、PCのキーボードをカチャカチャすれば仕事をしているように見えるそうだ」

「どこ由来の説を採用したの?」

「かの、原始天尊が唱えておられた」


嘘つけ。

天界にPCないだろ多分。


「それで、天孫の言が本当であるか、不遜にも疑問をもってね」

「発言主ころころ変わってるけど、大丈夫?」


この男、見ての通り中二病が抜けきれず、無駄に語彙と知識が豊富なのだ。シンプルに信用できねえ。

まあ、多分要約すると、仕事終わりのビールの旨さを実証するためだけに大学でPCを触っているのだろう。暇だなこいつ。


「んで、進捗は?」


ビールのためだけに、キーボードをカチャカチャしにきた男は答えて曰く。


「まだ飲酒していないため完璧な解を提示することはできないが、ひとつ明らかになった」


仙人は、PCを操作しBGMを流す。

これあれじゃん、「実に面白い」がキメ台詞の物理学者が主人公のドラマのやつ。


「キーボードをカチャカチャするだけというのは、実に空虚だな」

「せやな」

「ついうっかり、リーマン予想を解いてしまったよ」


解けてたまるか。


「時に卓也くん」

「なに?」

「図書館はもう閉館の時間だが、それを返却せずとも良いのかい?」


だめだよ。

俺は仙人に別れを告げ、大急ぎで図書館へと向かった。



『nya~』


あ、白丸。久しぶり、元気してた? お前の主人の酒癖、めっちゃ厄介だね。急いでるから、また今度…………チャリのタイヤに纏わりついてくるな頼むから!

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