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視えるカレと陰陽師なカノジョ  作者: Wana-wana
学部三回生秋~
28/97

雀って何であんなに高いんだろうね

結局のところ、日本人は醤油だれの誘惑には勝てないのだ。

俺は本能に赴くままに、神社の手前で売っているウズラの丸焼きと、ついでにその隣の屋台でフライドポテト(トルネードしてるやつ)を購入。有名な雀の丸焼きは、お値段的に断念をした。食べてみたかったんだけどな。

佐伯はいなり寿司を買ったみたいだ。

歩きながら食べられるものばかりとはいえ、人で混みあっている中では普通に食べづらかったので、屋台のはずれの方で立ち止まる。


「ほい」


元より、一人で全部を食べるつもりはなかったので、トルネードポテトが入っているカップを佐伯の方に差し出す。


「ありがとう、ほれいなり寿司だ」


等価交換。

大変ありがたいのだが。


「手が空いてないんすよね」

「なら、口開けろ」


あ、そういうあれですか。

ちょっと屈むと、口のなかにおいなりさんを突っ込まれる。

おお、五目いなりだ。

しばし咀嚼して。


「普通に、俺がポテトのカップをちょっとの間渡せば良かったんじゃ……」

「あ」


頭が回ってなかった。

あと、いなり寿司は美味しかった。


そんなこんなのやり取りがありつつ、ちょっとした腹ごしらえも終了。

満腹とはいえないけど、これから結構歩くことになるので、腹八分目くらいがちょうど良いのだ。

食べ物が入っていた容器は、参道に設置されているゴミ箱へ放り込む。


「って、佐伯おいなりさん残すの?」


それなら、欲しかった。


「んー、ああ。念のために、な。あと、これはやらんからな」


一つだけ残ったおいなりさんは、ケースごと佐伯のバッグのなかに収納された。

荷物ふえるのにわざわざそんなことをするのか。嫌な予感がしてきたな。


まず、千段くらいの階段を登って、いわゆる神社!って感じのところでお詣りをする。


「お賽銭は、下一桁を五円にすると、語呂で『ご縁がありますように』と、縁起が良い感じにできるぞ」

「へー」

「近年囁かれるようになったことで、謂われなどがあるかは、私も知らん」

「まあ、こういうのは、気持ちの問題だから、良いんじゃない」

「そうだな」


じゃあ、俺は十円玉四枚と五円玉一枚で、『始終ご縁がありますように』でいこう。


二礼二拍一礼。

佐伯と並んで、神様にご挨拶をする。

そういえば、願い事とか何も考えてなかったな。無病息災で良いかな。

ご縁の方は、まあうん。

隣をチラッと見る。

充分恵まれてるわけだし。


さて、本番はこれからだ。


「それじゃあ、行こっか」

「ああ」


ガチ登山。階段とか整備されてるから登山っていうほどではないんだけども。


「ところで、伊豆野」

「うん?」

「ここの鳥居、本当に千基か…………?」

「もっと多いでしょ」


全長何kmくらいあるんだろうね、ここの鳥居の順路。千本鳥居っていう名前は、少なくとも数字を正確には表していない。

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