気を付けよう、祝日の休日ダイヤ
本日の目的地は、電車を乗り継いで一時間ほどを要する。まあまあ遠いのだ。違う府だからしょうがないけども。
で、当たり前なのだけど佐伯とは同じ目的地に向かうので、結局現地集合にしても電車の時間は一緒になる。なら、最寄駅から待ち合わせしようということになったのだ。
「ちょい、早く着きすぎたな……」
日頃から無駄に早く家を出発して、結局予定時間の十分前二十分前になってしまうのが常だ。
どうするかな。
頭に手を当てようとして、今日はワックスでセットされていたことを思い出す。しょうがないから、その手で首筋を掻いた。
コンビニ行くかあ。飲み物くらい買っておきたいし。
コンビニの中はやはり温かい。今日は太陽も出ているので、比較的暖かいと思っていたのだけど、それでも人間の叡知には勝てないようだ。
うーん、お茶も良いけど午後ティーにしとくかな。せっかくだし、あったかいやつにするか。
あったかい飲み物が並べられている温蔵庫(?)の前に立っているお姉さんに、すみません、と言ってどいてもらお、
「あ」
「わ」
「新年明けましておめでとうございます」
「ご丁寧にどうも。明けましておめでとうございます」
待ち人だった。コンビニ内で新年の挨拶するのって、どうなんだ。
◆
「そういえば、頭どうした?」
「ひどくない?」
切符を購入して、乗車。終点というか始点の駅なので、座席には困らなかった。拳ひとつ開けて、横並びに座る。
こっから三十分程地下鉄に揺られて、乗り換えすることになる。昼過ぎには、向こうに到着する予定だ。
「妹にやられたんだよ」
ある程度は予測していたけど、やっぱり佐伯は俺の装いを言及してきた。まあね、日頃こんなことしてないもんね。
「なるほど、妹さんか。だから、今日は寝癖がない……違うな、寝癖を上手く誤魔化すようにセットされた、というところか」
寸分違わず当てられてるんだけど、なんでわかったの?
「そういうそっちこそ」
今日の佐伯は、これからがっつり歩くことになるからか、パンツスタイル。髪は緩く巻かれていて、大学では目にすることのないアクセサリーも耳に揺れている。
かわいい。本人には伝えないけど。
そういえば、だいぶ髪の毛伸びたよなあこの娘。
「うん、似合ってる」
「…………臆面もなくそういうことを言うな、お前は」
あれ、なんか俺呆れられてないですか?
顔が、うわあって言ってるんですが佐伯さん。俺、なんか間違えました?
そのため息はどういう意味なんですか。