覆水1
渇きを感じる。
同じような日々の繰り返しに。
満たされることのない渇き。
勿論、一日として同じ日は来ない。日々新しい出来事があり、新しい発見がある。
でもそれは当たり前のことだ。日常の範囲内での変化であり、俺が焦がれる非日常ではない。
学校に行って、友達と喋って、勉強して、家に帰る。テストや宿題に悪態を吐きながら、友達とゲームをしたり、馬鹿をやって遊ぶ。
典型的なダメ学生といった生活だが、俺はこの日常が嫌いじゃなかった。
でも、どうしても、心は渇きを感じてしまう。ネット小説を読み漁ったり、ネットに転がってるオカルト話をつい見てしまうのもこの渇きのせいだろう。
ある日の夜、ふと古いオカルトネタを試してみようという気になった。小さい紙に六芒星を書いて、その中に飽きたと書き、それを握って寝ると異世界に行けるといったものだ。
とはいえ別に、本気で信じてやるわけじゃない。こういう物はガセだと思いながら、それでもほんのわずかに感じてしまうワクワクを楽しむものなのだ。
少し、いやかなりドキドキする。こういうのを試すのは初めてだからだ。
どうせうまくはいかない。でも、もしうまくいったらどうしよう。そんなことを考えながら俺は眠りについた。
夢を見た。
嫌な夢だ。自分が死んでる夢なんて縁起が悪いじゃないか。いや、寧ろ良いのだったか。誰かが言っていた気がする。
ああ、最悪の気分だ。父さんと母さんが俺の死体を見つけた。夢の中とはいえ酷く悲しんでいる両親を見ると、胸が締め付けられる。
自分の死よりも、両親を悲しませてしまったということが胸を刺す。
「私より長生きしてね」という母さんの言葉を思い出した。申し訳なさが胸に溢れてくる。
苦しい。
うまく息をできない。罪悪感からか酷く呼吸が乱れる。
もうこんな夢を見続けたくはないと、覚めてくれと願っても夢は終わらず、視界は色褪せ苦しさは増す。
暗闇の中で藻掻き、藻掻き続けて、俺はようやく飛び起きた。いや飛び起きたと思った。
眩しい。
しかし何も見えない。何か音が鳴っているが、それも何なのかわからない。
体の感覚が鈍い。何一つとして状況を理解することができない。できなかったのだが、しかしどうしてか、スーっと胸の中心が冷たくなった気がした。
何か、何か取返しのつかないことが起きてしまった気がする。失ってはいけないものを失ったような感覚。
心臓が早鐘を打つ。なぜ目も耳も利かない?不安が心を蝕んでいく。
さっきあんな夢を見たからか、感情が抑えられず、心がぐちゃぐちゃになる。叫び出したい衝動を抑えることができない。
(一体なにが起こった?俺は今どうなってるんだ!?)
不安に押し潰されそうになる中、何か、ひどく暖かく安心できるものに触れた気がした。
それに触れていると、少しずつ不安に塗りつぶされた心が晴れ、ぐちゃぐちゃになった心が凪いでいく。
そうして訳もわからず安心したところで、俺の意識は途絶えた。
初めましての方しかいません。初めまして。鰹節です。
お恥ずかしい事にこの小説は私の処女作です。そのため、読みづらかったり、誤字脱字が酷かったり、日本語がおかしかったり、そもそも話が面白くなかったりと色々あるとか思います。何かありましたら、(できれば優しく)指摘して頂ければ幸いです。それから1話目で書くのもあれですが、早々にエタる可能性もございます。気楽に読んでいただければと思います。