表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

第1話 泥酔と介抱

登場人物


佐藤優斗さとうゆうと:料理好きな新入社員。どこにでもいそうな普通の25歳。実家が飲食店を営んでいるため、料理の腕は確かだが自覚は無し。


本間悠里ほんまゆり:仕事のできる美人OL。若くして班のリーダーに抜擢された28歳。性別問わず社員の憧れの的だが、本人に自覚無し。


葛城賢哉かつらぎけんや:悠里の班所属の入社4年目。次期リーダー候補の逸材だが、現時点ではまだまだ粗削り。後輩の面倒見はいい方だが、たまに雑になるときがある。


柚木涼ゆずきりょう:悠里の班所属の入社3年目。普段はおっとりしているが、やるときはやる切り替え上手。


松谷結美まつたにゆみ:優斗と同期入社の女子社員。人付き合いがうまく、誰とでも割とすぐ仲良くなれる。


 春は、出会いの季節である。とは、ずいぶん前から言われている。この春、大学を卒業して就職のために上京してきた佐藤優斗は、新入社員として都内の大手企業に通勤し始めていた。優斗が配属されたのは、主に広報を担当する部署である。部署内にはいくつかの班があり、班単位で一つの仕事に当たっている。それぞれの班には、リーダーが一人ずついて班員をまとめている。優斗の班には、リーダーの本間悠里と先輩社員の葛城賢哉と柚木涼、同期の松谷結美の5人が所属している。実は、この班構成が発表されて顔合わせをした時、優斗は少し複雑な感情を抱いていた。

 優斗が入社したばかりの頃、電車通勤している優斗は、いつも同じ車両の同じドアから乗ることにしていた。理由は、慣れない土地で自分のルールを作ることで安心感を持つというのもあったが、大きな理由は他にあった。優斗が乗車するとすでに乗っていて、いつも同じ席で本を読んでいる一人の女性に会えることに安心感のようなものを覚えていたからだ。そのことに気づいた時から、なんとなく気になる程度に思っていた。電車は次第に混んでくるため、その女性がどこで降りるのか知らなかったが、班の顔合わせでリーダーが発表され、彼女が出てきた時には驚いた。彼女が今のリーダー、本間悠里である。それを知った翌日から別の車両に乗ることにした優斗は、自分を知らない様子の悠里の態度に安堵と勝手な気まずさを感じながら仕事をしていた。

 班配属の約一か月後、2人の先輩社員が新入社員歓迎会と称した飲み会を企画した。悠里の了解も得て金曜日に設定されたため、その日は班全員が定時で仕事を切り上げて、近くの居酒屋に向かった。あまり飲まない優斗は乗り気ではなかったが、先輩たちが奢ってくれるというので、晩御飯の代わりと考えて参加した。居酒屋への道中、隣を歩く結美が話しかけてきた。

「優斗君はお酒飲むの?」

「俺は全然飲まないな。両親が飲まないから、飲もうと思わない。」

「そうなんだ。私はお酒好きだから、結構飲むんだよね~。ちなみに、悠里さんは結構な酒豪らしいよ。涼さんが言ってた。」

優斗は、結美がサラッと告げた衝撃の事実に驚きながら歩いていると、店に着いた。

 飲み会は、改めての自己紹介や悩み相談などをしながら、順調に進んでいった。午後10時ごろ、葛城がそろそろお開きにしようかと言った。優斗たちは、悠里を除いた同性の先輩後輩で世間話や趣味の話をしていた。そして悠里は、何か嫌なことでもあったのか、最初から飛ばして飲み続けグデグデになった末に静かにむにゃむにゃしていた。

「こうなるとこの人面倒なんだよな。っとこんな時間に誰だ?」

葛城は電話に出た後、血相を変えて言った。

「すまん佐藤。嫁が激おこでな。代金全員分払っとくから、女性陣を安全に帰してやってくれ。」

突然の丸投げに驚く優斗をよそに、葛城は手早く会計を済ませて帰ってしまった。

「仮にも俺、主役だよな?」

そんなことを呟きながら、考えをまとめる。絶賛爆睡中の上司はとりあえず置いておいて、柚木と結美に何とか帰れないか聞いてみる。2人はどうやら、そこまで沢山飲んでいる訳ではないようで2人で帰ってくれることになった。となると、とりあえず置いておいた悠里をどうするか問題が残る。

「私が送ってこうか?」

と柚木は言ってくれたが、アルコールが入っている人間に任せるのは気が引けたため断った。とはいえ、優斗が持っている悠里の家の情報といえば「自分より最寄駅が遠い」しかない。鞄の中をさばくれば、免許証なり定期券なり住所が分かる物があるかもしれないが、そもそも電車で話しかけられない優斗にはできるはずがなかった。仕方なく自分の家に連れ帰ることにした優斗は、なんとかタクシーを捕まえて帰宅した。

 帰宅すると、何をやっているのか感が強くなる。とりあえず、驚く事にここまで一度も起きていない悠里をソファーに寝かせて毛布をかける。そして、シャワーを浴びてベッドに横になる。正直、家への帰路が一番しんどかったと思う頃には、優斗も寝息をたてていた。

ここまでお読みいただいた皆様、ありがとうございます。

初めての投稿で不安なことばかりですが、楽しんでいただければ幸いです。

あまり長くはならない予定ですので、未熟者の作品ですがお付き合い頂けると嬉しいです。

それでは、今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ