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双子Vtuberは事務所を訪れる

 


「だから女の格好で外出れるかって言ってんだよ!」


「着なきゃダメって何度言ったらわかるの!?」


「わかるわけねえだろ!」


 今日も今日とて兄弟喧嘩、とでもいえば後で和解して仲良い兄弟みたいに思えるが、俺は今男としての尊厳を守るか守れないかの戦いに望んでいる。

 いくら弟とはいえこればかりは俺の男の沽券に関わる問題だ、譲ることは出来ない。


「事務所に行くからと言って女装する必要がどこにあるんだよ、ないだろ」


「あるよ! それにお兄ちゃん昨日は配信の時着てくれたじゃない!」


「あの服は配信のモーショントラッキングだかなんだかに必要だっただけだろ! わざわざ必要ない時まで女装なんて俺はごめんだ」


 確かに昨日の配信時は嫌々ながら女性用の、というかアバターと同じ衣装を着ていた。

 だがそれは事前にアバターと同期するためのモーショントラッキングに必要だと花恋に説明されたから着たまでの事だ。

 別に日常から着る必要なんてどこにも無い。


「お兄ちゃんは何も分かってない!」


「お前の趣味は尊重してやるが俺を巻き込もうとするな、俺は女装癖なんてないんだよ」


「じゃあ逆に聞くけど、男の子なお兄ちゃんとぼくがせれんとかれんですって事務所行ったらどうなると思う?」


「どうにもならないだろ、それがなんなんだよ」


「大問題だよ!」


 元々花恋は事務所に対して兄弟でやることは通していたはずだ。

 事務所側もその条件で俺たちふたりをVtuberとしてデビューさせるに至ったとも聞いている。

 であれば事務所側も俺と花恋が男だということを理解しているはずなのだからどこに問題があるというのだろうか。


「あのね、事務所側はぼく達のことわかってるけど他のライバーさんは何も知らないんだよ??」


「初顔合わせもぼくだけだったけどみんなぼく達のこと本当の姉妹だと思ってる」


「じゃあちゃんと理解してもらえばいい話だろ」


 まあそれは仕方ないことだ、花恋は普段から女性物の服しか身につけないし声も高いから女だと思われてもしかたない。

 ましてや他のライバーはプロフィールまで渡された訳では無いだろうから俺のことも女だと思ってることだろう。

 でもそれならきちんと説明すれば何も問題ない話であって、双子姉妹が双子兄弟になるだけだ。


「他のライバーさんはみんな女の子なの!僕達だけが特例で他の子は知らないんだよ!」


「なんだよそれ。事務所内なんだったらちゃんと情報は共有しとくべきだろ」


「無理なこと言わないでよ!他の子にも気を使わせちゃうし、女の子しかいないとこに実は僕たちが混ざってましたってなったら事務所の危機だよ!もしも他のライバーさんがぼく達の秘密をうっかり話しちゃったらどうするつもりなの!?」


「それはその時の話だろ」


 まあうっかりなんて誰でもあるわけだし元々俺は男だ。

 正直嫌々でもやるなら男としてやりたいしむしろ視聴者にそれを理解してもらうのは早めの方がいいと思う。

 まあ花恋の夢であるからなるべくバレないようにするつもりではあるが、それでもそういう可能性は否定できないのだ。


「ダメなものはダメなの! 双子姉妹で売り出してるのに実は2人とも男でしたなんてなったら、もうこの世界に居られなくなっちゃうんだよ!」


「そんなことは無いだろ…」


「とにかくぼく達の秘密は他のライバーさん、同じ事務所内でも絶対にバレちゃいけないの、だから今日だけでも僕の服着て…お願い…」


 まあ弟にも弟の事情があるのだろう。

 それは理解出来たし出来ればその通りにしてやりたいが、さすがにこればかりは譲れない。

 外で女装するようになったらそれこそ終わりだ、男としての尊厳がなくなってしまう。


「悪い花恋、こればかりは聞けない。そんなに女装しなきゃいけないならひとりで行ってくれ」


「あ、それは無理。今日はお姉ちゃんと来ますってみんなに言っちゃったから」


「じゃあ姉は急用で来れないってことにしといてくれ」


「今日行かないとVtuber続けられないの! だからお願いお兄ちゃん、今日だけでいいから」


 そう言って涙目で俺に縋り付く花恋、これは余程の事情があるのだろう。

 だけど花恋の事務所は一体どんなところなんだろうか、そんなことでVtuberを続けられないとは。

 なかなかに厳しい世界というのは想像が着くがまさか同じ事務所内でも話してはならない、性別を明かしては行けないとは。


「わかったよ、今日だけだからな。花恋の夢のために一肌脱いでやるがこれきりだからな」


「やった! じゃあお兄ちゃんこれに着替えてね!」


「おい、また嘘泣きじゃねえだろうな」


「そんなことないよー」


 そう言って先程までの涙はどこへやら、にっこにこで部屋を飛び出して行った弟の背中を見つめる俺。

 なんか昨日もこんなことあったような気がする。

 まあ言ってしまったものは仕方ない、今日だけは協力してやろう。


 この後花恋が持ってきた服を見て、約束したことを強く後悔したのはわかりきってたことだった。

 薄手の服というか布にも見えるワンピースを着るところを横からにこにこ顔の花恋に眺められながら着替えを終えた俺は、化粧にウィッグまでつけられて家を出た。


「なあ、ほんとにこれで行くのか」


「当たり前でしょ? おに…お姉ちゃんのために控えめなの用意してあげたんだから」


「でもさあ…」


 俺は家を出た玄関口で足踏みしていた。

 当然理由はこの格好である。

 控えめなのとは言ってもわざわざスカートにする必要がわからない、ズボンでもいいでは無いか。


「スカートの中違和感しかない」


「慣れたら普通だと思うよ?」


「そうかもしれないけどさあ…嫌だなぁ」


「今日だけだから、ね?」


「わかってるよ…」


 俺の格好は今の季節、つまり夏明けの秋らしいワンピース。

 足首まで伸びるスカートをヒラヒラとはためかせ、上に薄手のカーディガンを羽織っている。

 夏が過ぎて過ごしやすいとはいえ、色々着込む程の季節でもないからこれくらいの格好は違和感ないのだが、俺からすると違和感しかない。

 足を見るとそこまで高くはないがヒール、かかとが高くなったサンダルに包まれる俺の足が見える。

 初めて着る薄手の靴下が違和感しかない光景、というかかかとが高いの履きなれてないから転びそうなんだが。


「でもお姉ちゃん似合ってる」


「言われても嬉しくないけどな」


「素直じゃないな〜」


「素直な感想だ。嬉しくない」


 そういう花恋の格好といえば膝上のひらひらしたミニスカートに薄手の黒色トップス、足元はパンプス?とやらを履いて上にカーディガンを羽織っている。

 まあ姉妹には見えなくは無いだろう。


「やっぱり帰っていいか」


「だーめ、ほら行くよ!」


「おい引っ張るな、転ぶ」


「ごめんごめん、でも行かないと遅くなっちゃうよお姉ちゃん」


「わかってるけどさあ…」


「もう、押してあげるから行くよー!」


 そう言って後ろに回り俺の背中を押し始める花恋。

 俺は押されるままに最寄りのバス停まで来てしまった。

 後戻りできるなら今しかない、走って逃げるなら今が最後、だけど履きなれないこんな靴で花恋から逃げられるとも思えない。


「はあ…」


「お姉ちゃんお姉ちゃん、あんまりげんなりしてると逆に目立つよ? 堂々としてた方がいいと思うな」


 こんな格好をしてウィッグまでつけて、化粧もされているのだから俺はどこからどう見ても女だろう。

 幸い…不幸なことに俺はガタイが良くない、女と違って胸が膨らんでいないこと以外は女と変わらないほど華奢なのだ。

 花恋の言葉は不思議な説得力があって俺も納得してしまった。


「確かにな?」


「その調子だよお姉ちゃん!」


「はあ…」


「早速ため息ついてるし」


 それは仕方ないことだろう、わかれ弟よ。

 まあ変に目立つより普通の女を演じていた方が下手に目立つこともないから、その方が自分でも疲れないかもしれない。

 見てくれは女なんだから今はそれに合わせておいた方が平和だろう。


 そうだなあ、歩く時は足を開かないように…さて、女の人ってどうやって歩いていたか。

 俺は頭の中に何となく思い浮かべながら隣の花恋を見る、どこからどう見ても女だよなあ。


 朝のニュース番組で見かけたファッションモデルのウォーキングを思い出しながら、やりすぎ無い程度に崩して考える。

 足は開かず、平均台を歩くように足を1本のラインのように揃えて踏み出せば違和感なく歩けるだろうか。

 背中は丸めずに伸ばす、腕は…よくわからないから花恋に合わせておこう。


 バスから降りた俺は早速バスの中で思案した女性らしい立ち振る舞いを意識して行動を開始した。

 幸いなことにバスから降りた途端花恋が俺の腕に引っ付いて来たのでされるがままになってやり腕の問題は解決。

 歩き方も花恋を実際の見本にしながら自然に歩く。


 …普段姿勢なんて考えてなかったがきちんと整えるとあまり疲れないな。

 低めではあるがヒールが歩きにくく疲れることも覚悟していたが、姿勢を正せば意外と何とかなってしまった。

 日頃から弓道の時のように姿勢を気をつけておこうと心に決めた俺であった。


 それにしても街に出ると視線を感じるようになったな、これが女なのか。



 ♦♦♦



 電車で数駅移動して都心の某駅で降りた俺と花恋は、すっかり慣れてきた足取りで事務所に向かっていた。

 過ぎ行く人混みに揉まれながら何とかたどり着いたのはひとつの10階建てのビル、ここが丸々事務所だって言うんだから圧倒されてしまった。


 Vtuber事務所Vライブ

 事前に花恋に聞いたところ、ここにはマネージャーやスタッフがいるのはもちろん、あらゆる最新の配信環境が整っているらしい。

 なんでも、毎日ここに通って配信する人もいるんだとか。

 近未来的というか、気持ちが高鳴るようなデザインの入口をくぐってロビーに入ると、直ぐにスタッフのが出迎えてくれた。


「花恋さん、いらっしゃい」


「えっと、鈴さんって今いらっしゃいますか?」


「紫乃宮さんね、少し待っててくれる?」


「はーい」


 受付らしきところのスタッフに声をかけて誰かを呼んでもらうように頼んだらしい花恋が小走りで俺の横に戻ってくる。

 走り方から何から何まで見事に女の子である。

 ベンチとは言えないひとりがけのオシャレな椅子に座らせられる。

 おお、ふかふかだ。


 そして俺の横にピッタリくっついて腕を抱き寄せる花恋。

 どう見てもひとりがけの椅子、隣にも同じものがあるのに何故わざわざ狭い思いをするんだ。


 まさかこいつブラコン…この場合シスコンなのか…?

 兄弟愛、しかもBLが趣味とか言わないよな、いくら花恋でもそれは受け入れられないものがあるぞ。


「花恋、狭い」


「別にいいじゃん〜」


「俺そっち移る」


「だ〜め」


 しばらくすると満足そうな花恋とげんなりした俺の元に一人の女性が近づいてきた。

 秋をテーマにロングスカートと薄手のトップス、上にカーディガンを羽織っている。

 スーツでびしっとしているわけではないが、仕事出来るオーラを纏っているような気がする。

 あれが花恋が呼んでもらった人だろうか?


「花恋、待たせちゃってごめんね」


(すず)さん! 今日はちゃんとせれんを連れてきました!」


 そう言った花恋の隣に並ぶ俺。

 鈴さんと呼ばれたスタッフさんが俺を頭のてっぺんから足先まで見つめて口を開く。

 いや、あんまりジロジロ見ないで欲しいんだが…。


「あなたが…会うのが遅くなってごめんなさい、私は紫乃宮(しのみや)鈴、二人のマネージャーを担当するわ」


「あ、はい、よろしくお願いします。おr…私は愛原星恋、花恋の姉です」


 当たり障りなく挨拶をして紫乃宮さんに目線を戻す。

 事務所では姉として振舞って欲しいと花恋に言われた通り姉として振る舞ったはずなのだが、それを聞いて少しびっくりした様子の紫乃宮さん。

 これは演技が下手すぎてバレてしまっただろうか。


「あら、ごめんなさい。花恋から"お兄ちゃん"は普通の男の子って聞いていたからびっくりしちゃった」


「え、」


「私はちゃんとわかってるから私の前ではいつも通りにしていいわ。でもさすが花恋の"お姉ちゃん"ね、すっかり板についてるわ」


「あはは…」


 全く嬉しくもない言葉を頂いて花恋を睨む。

 必要ないとこでまで女のフリしてしまっただろうが、という目を向けると花恋はニヤニヤ笑顔を浮かべるばかりで反省はしていないようだった。

 板についてる…か、全く意識してなかったが気をつけなくては、俺は花恋みたいに女性らしくなりたいのではない。

 変な癖がつかないように気をつけなければならないと再認識した。


 そのまま俺は花恋と紫乃宮さんに事務所内の案内をしてもらった。

 花恋から聞いていた配信環境は色々見せてもらったがどれもすごいとしかおもえなかった。


 様々な配信形態、ゲーム、あらゆる配信に備えて用意された配信部屋は数にして所属Vtuber全員が配信しても埋まらない程に充実している。

 それ以外にも会議室からスタッフ用の部屋、ライバー用の部屋、休憩室から食堂まで本当に充実している。

 スタッフの雰囲気も明るくみな楽しそうに働いている。

 将来働くならこういう楽しく仕事出来そうな職場がいいものだ。


「ふたりは今日配信していくよね?」


「いえ、帰るつもりです」


「配信していきます!」


「じゃあ部屋確保しとくね」


「おい…俺に拒否権は無いのか」


 そんなわけで事務所での配信が決まってしまった。

 まあ配信環境が揃っているという辺りから何となく覚悟はしていたから今日だけは許しておこう。

 代役が見つかれば金輪際ここに来ることもないわけだし、この素晴らしい環境を楽しむのは許されるだろう。


「それにしてもここに来て配信する意味ってあるんですか?」


「え? ここに来ることが絶対ではないけれど、同期の子達とかと一緒に配信したりは多いかしら。これから星恋と花恋も他の子達と一緒に配信する機会はあるはずよ」


「そうですか…それって花恋だけじゃダメですかね」


「うーん…ダメとは言わないけど…視聴者さんは納得しないかしらね…」


「僕とお姉ちゃんは一緒にいなきゃだからね!」


「はぁ…花恋、代役早く頼むぞ…」


 今日来ればてっきりもう来なくて済むと期待していたが、どうやら代役が見つかるまで、何度かここに来ることはありそうだ。

 それにしても他Vtuberとコラボか、バレないように立ち回る気苦労を考えるとお先真っ暗な未来から逃げたくなる。


 もうすぐお昼時だしこういう時は食堂の味を堪能して忘れてしまおう。

 ついでにコラボはしないが他のVtuberの活動を少し見学させてもらおう。

 会社見学とは小中学生にはつまらないものだが、普段想像しにくい世界、しかも若者に人気のVtuberの事務所を見学できるのは意外と心躍るものだ。


「お姉ちゃん結構楽しんでる?」


「そうだな、結構楽しいよ」


「そっか、よかったー! これからも沢山来なきゃだから嫌だったらどうしようかと思った」


「だな…まあ嫌なところだったらほんと引きこもってたよ」


「私達も過ごしやすい環境作りを目指してるからそう言ってくれると嬉しいわ」


 とはいえこれは何がなんでも愛月せれんの代わりを見つけなければならない。

 帰ったら花恋にはよく言って聞かせて急ぐように伝えよう。

 これからもこんな格好で出かけるなんて俺はごめんだ。


「じゃあかれん、私はここまでね。せれんちゃんにはちゃんと案内してあげてね」


「はい!」


 結局引きずられるように配信中にランプのついてない部屋の扉を開くのだった。



 ♦♦♦



「なるほど、これが…」


「すごいでしょ」


「確かに…Vtuberの事務所ってのも伊達じゃないんだな」


「当たり前だよ! じゃあ今日はゲーム配信するからね!」


「なんのゲームするんだ?」


「You're a crafter、ゆあくらだよ!」


 ゆあくらか、立方体のブロックを好きなように掘ったり置いたり、クラフトしてアイテムにしたりできる自由度の高いゲームだ。

 建築を楽しむ人、作業を楽しむ人、戦いを楽しむ人様々で配信には都合の良いゲームではある。

 人気度も高いのでこれを配信すれば花恋の人気も上がること間違いなしだな。


「Vライブの事務所鯖があって所属Vtuberがみんな入れるところがあるの」


「へ〜、そこに入って何する?」


「先輩たちが作ったもの見て回りながら挨拶回りかな」


「なるほどなあ…俺もやらなきゃダメか」


「もちろん!」


 というわけで二人並んで椅子に座り配信準備をする。

 今日は服はこのままで良いとのことなのでまた変なコスプレをする必要は無いらしい。

 というかこの格好も俺からしたら女装でもはやコスプレなので納得できないところではあるが。


「じゃあ配信始めるけどお姉ちゃん準備できた?」


「大丈夫なはず…」


「じゃあ時間通り始めるね!」


「わかった」


 結局、ただ事務所に訪れて挨拶だけして帰るという訳には行かなかった。

 これに関してはバスと電車の中で花恋から事務所の概要を聞いた時から既に覚悟はしていたから驚きこそ少ないけれど、またあのきもい女声で2時間も配信しなければならないことに落胆せずにはいられなかった。



 ♦♦♦



「皆さんこんにちは〜! かれんだよ!」


「せれんだ…」



 -コメント

 待ってたぁぁ

 こんにちはー!

 きたきたきたきたー!!

 こんにちは!

 かれんちゃん待ってたよーー!!

 せれん様、待ってた!


「せれん様!?」


「お姉ちゃん姉御だもんね〜」


「それやだなあ…」


「嫌なの?」


「だって姉御とか全然キャラじゃないし…」


 -コメント

 間違ってないんだよなあ

 弓道出来るきれいなお姉さん

 気の強い凛とした花

 美しい刃


「なんだそれ…」


「確かにお姉ちゃんってそうかも…」


「えぇ、かれんまで…」


 -コメント

 今日のせれん様はちょっと元気ない?

 せれん様何かあったの?

 お疲れ?

 昨日初配信だったからまだなれなくて疲れてるのはありそう

 すごく心配

 大丈夫?


「え、ううん、なんでもないよ…」


 -コメント

 絶対元気ない

 かれんちゃんは何か知ってるの?

 元気だして!

 でも無理はしちゃダメだよ


「うーん、心当たりはあるけどー…」


「大丈夫だからな…」


「うん、この調子なんだよね」


 ーコメント

 無理しなくていいからねせれん様

 大変なことがあったら休んでもいいから

 倒れたらすごく心配だからね?ら

 無理しないで


「ほんとか!? 休んでもいいのか!?」


 -コメント

 あれ、せれん様元気になった?

 せれん様って意外と面倒くさがり?

 完璧お姉様の意外な素顔

 どんどん好きになる

 そんなせれんちゃんも好き

 じゃあ明日はみんなでおやすみ…それは悲しいな


「かれん!」


「お姉ちゃん、ダメだからね? わかってるよね?」


「はい…」


 -コメント

 かれんちゃん怖い((((;゜Д゜)))

 普段は凛として人を寄せつけないお姉さんが実は...っていいよね

 かれん×せれんだったか

 かれんちゃんには逆らえないせれん様


「姉御でもないし虐められキャラじゃないから!!!」


「そうだよ〜、ぼくそんなんじゃないから」


「ほらかれん、今日はゲームやるんだろ」


「うん、そうそう。みんな、ぼくは怖くないよね?」


 -コメント

 怖くないです!

 全然怖くない!

 こ、こえ...なんでもない怖くない!

 目が笑ってないよ...

 こわい...

 おい、、


「かれん…こわい」


「何か言った?」


「いいや…なんにも…」


「だよね!」


 ーコメント

 :( ; ´꒳` ;):ガタガタガタガタ

 せれん様がんばれ…

((((;゜Д゜))))

((((;゜;Д;゜;))))カタカタカタカタカタカタカタ


「じゃあ今日は私たち二人のデビュー記念ということでゆあくらで挨拶しに行こうと思うよ!」


「私はかれんについてく…」


「もう、お姉ちゃんもちゃんと挨拶しなきゃダメだからね?」


「頑張ります…」


 ーコメント

 かれんちゃんに踏まれる…ありだな

 今日は誰が来てるかな〜

 せれん様を虐めてかれんちゃんに虐められたい

 なんかコメ欄ヤバいやつ湧いてて草


「かれん…コメント欄が怖い…」


「う〜ん…気にしなくていいんじゃないかな、みんなもせれんお姉ちゃんが怖がってるからダメだよ? それとぼくは虐めたりしないよ? だよね?」


 ーコメント

 はいっ

 その通りです!

 かれんちゃんはとっても優しいいい子です!

 せれん様お綺麗です!

 どこまでもついて行きます!


「よろしい、じゃあサーバー入っていくね!」


「私はかれんが怖いよ…」


「お姉ちゃん何か言った?」


「ナンデモナイデス…」


「じゃあ入るよ〜」


 ーコメント

 せれん様…元気出して…

 ゆあくら配信頑張って!

 かれんちゃんも程々にね!


「お姉ちゃん、はやくはやく」


「ああ…」



 ♦♦♦



 かれんの見たこともないような怖い目を見た気がしたが、今は気にしないようにしてとりあえずさっさとゆあくら配信を終わらせよう。

 所属Vtuberへの挨拶回りだっけか、それならさっさと回って終わればいい。


「かれん、早く行こう」


「うん、じゃあまずは最初の街の所行ってから個人の街に行ってみよう!」


「え、複数あるのか?」


「うん、最初のところにみんなで作った街があって線路で繋がるたくさんの街があるんだよ!」


「へぇ…すごいな…」


 早いところ済ませようと思ったけど思ったより時間がかかりそう…。

 軽く絶望して素が出そうになったが流れるコメント欄を目にしてすぐにせれんに戻った。

 俺はせれん、今はかれんのお姉ちゃんで凛とした女の子だ。

 今はひとまずせれんとしてきっちり配信をやりきろう。

 どうせやらなきゃならないなら面倒事にならないように完璧にこなしてやる。


YouTubeが落ちてた関係でマイクラ...ゆあくら配信のところの参考がなくて次回に回しました。

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