続・落ちて来たもの~真夜中に病院でホラー書いてみた~
恐がらせるつもりはまったくありませんが、ホラー要素あります。
あくまで個人体験です。気持ちが悪くなった方はすみません。先に謝ります。
「最初に書かなくてはいけないのですけれど、これは「実話」です。日にちも時間も詳しく特定できます。
だから場所に気づいた方もいらっしゃると思いますけれど内緒にして下さい」
この始まりで書いた「落ちて来たもの」の続編をまさか描く日があるとは思っていませんでした。
いえ――予感はありました。体調を崩し、その病院で「入院が必要です」と言われた時にはっきりとその部屋、ベッドの場所まで特定していました。入るならここだとわかっていたのです。
旧館(棟)四階だと。
前作でも記しましたが、私はそれほど霊感めいたものはありません。並みだと思っています。
ただ家系的に零感ではなく、実際に家人Bはかなり視える方です。私はよく憑かれてしまう、俗に言う巫女タイプではあるようです(これは痛い人と思われるので前作では書いていませんが)
だから私は普段から念珠を腕に、財布に守り札、塩を鞄に入れています。自分のためなんですけれど、同時に家人Bのためでもあります。家に連れて帰って驚かせることはしたくないですから。それにいつも家人Bが祓ってくれるので、申し訳ない気持ちが、ありました。
話を元に戻しますと、緊急入院になり家に帰らせてはもらえませんでしたが、手持ちがこれだけあれば乗り越えられると思っていました。
……乗り越えることは出来ましたが、遭遇を避けることには至りませんでしたけれど。
先に言い訳しておきますが、私は優しく大人しく控えめなモブです。ええ、作品を書いている時とその内容以外は人畜無害の人間です。
だから旧館四階の部屋に入った時はどうかしていたんです、きっと。
> 恐いもの見た
> カーテンの後ろ、頭蓋骨(透明)
> 枯れた手
> 二つの目
その日に家人に送ったメールです。病院の部屋で電話は禁止ですが、メールは許可されていました。
痛みやその他で40時間くらいは寝ていなかったのですが、夢ではありません。言い切れます。入ったのは4人部屋でしたが、コロナのために四隅のベッドはカーテンを引かれ孤立しています。私が視たのはそのカーテン越しに、です。
透明な頭蓋骨はほんの0、五秒くらいの間隔で二度点滅して右から左に移動したと思います。
私は頭の中で
――うん、左手で眼窩と鼻骨に指突っ込んで右手で下顎骨外そう――
瞬時に考えて行動していました。
枯れた手――取り合えず殴る。
二つの目――咄嗟に人差し指で突く。
他に軍人らしき人も目にしたのですが、睨んだら消えていました。
寝かせろやボケが!
私は完璧に戦闘モード入っていました。まるで漫画ですね、いい歳をした大人なのに。当然のごとく大阪のご当地言葉で小汚く罵り続けましたよ。あくまで冷静に。
最初の「恐いものを見た」は実は「自分の中に恐いものを見た」の意味です。主語がごちゃごちゃになっていますね。やっぱり冷めていたとはいえ、どこか熱くなっていたのでしょう。
それから彼(彼女)らは来ませんでした。
悪意とか絡み癖のある人達でなくて良かったです。今思うと本当に運が良かった。病院で最後まで手厚く看護されていた人達がほとんどだったのでしょう(頭蓋骨は少し良からぬものを感じましたが……)
前回の入院は心も身体も悪く、生と死の狭間にいたんですけれど、今回はそこまで酷くなく、身体は確かに車椅子クラスでしたが気持ちはしっかり持っていたのですね。だから強く出られたのだと思います。
最初にガーンと言って(殴って)おけばなんとかなる。舐められないことが大事。生物にとってマウントを取るというのは重要なことだと学習しました。無意識でしたが。
むろん、向こうからも色々していただきました。
・ウォークマンのスイッチを勝手に入れられる(ヘッドフォンの音漏れで気づく)
・携帯にSIМカードが入っていませんという表示が出て使えなくなる(ハードカバーを付けているので抜けないと思います。初めてです)
・看護師さんのパソコンの電源が切れる(この病院で看護師さんはキャリーにパソコン乗せて回ってます)
・同じく私のデーターがパソコンから読み取れなくなる(前回と違う看護師さんでした)
他にもまあ色々(笑)。偶然かも知れませんが、立て続けにやられると喧嘩売ってんのかゴラァとなるレベルです。
そんな中、身体に少し回復の光が見えた頃……自分の中でむくむくとある考えが持ち上がって来ました。
開けてはいけない玉手箱、あるいはパンドラの箱、鶴の恩返し等〈やっては駄目〉というものに挑戦したくなるのは人間のサガなのでしょう。
私は〈真夜中病院ホラー書き〉を思いついてしまいました。
この病院は戦時中、陸軍と関わりがあったと言われています。そしてたぶん旧館(棟)真下には病院地図に載らない安置所があると思われます。
自殺行為ですが、物書きならばやりたくはなりませんか?
現地取材しながら書けるんですよ。こんなことはもうないかも知れません。次の入院であちら側に逝く可能性もあります。やるなら今だ!
予め言っておきますと、この病院は盗難予防の観点からPCの持ち込みは許されていません。裏を返せばPC自体は身体や機器に影響するのではなく、ワープロ行為のみなら大丈夫ということです。なんせ部屋メールオッケーなのだから――良い子は真似しないで下さい――あくまで自己責任での強行です。
最初はさすがに五分と体力が持ちませんでした。点滴が邪魔でしたし、頭が創作と結びつきません。
ようやく食事が少し取れるようになってからナイショの夜書きを始めました。病院なので消灯は十時です。時間はたっぷりあります。PCの光を抑えベッド横のライトをつけます。
始めると部屋に蛍光塗料の緑に近い黄色があふれ始めました。飛ぶというより点滅し、染まるという感じがします。
ブキミというより綺麗でしたが、痛い色です。
そして退院が見えた時に、本格的に文字打ちを開始。この頃から、カーテンや壁にゴチャゴチャした――幼児がクレヨンで殴り書いたような模様が浮かび始めて来ます。
純粋に疲れだと思っていました。やはり体力もないのに無茶してはいけないと現実面に気づき、目をマッサージします。
(あれ……)
マッサージ途中で気づいたのですが、右目と左目で視えるものが違います。
片方ずつ視ると、カーテンや壁に文字が浮かび上がっていました。しかも毛筆縦書き。達筆すぎて読めません。それが〇、一秒ほどの間隔でフラッシュしてます。瞳を閉じても見えますので、脳に直接アクセスしているのかも知れません。
時々、手の形が浮き出ます。筆者かも知れませんね。壁にベタベタと手のひらの跡。やがて空気に圧があふれ出しました。
恐怖はありません。
ただウザい。
書いてるの邪魔すんなや、としか思いませんでした。確かに彼らの領域に裸足で乗り込みチャレンジした私が悪いです。謝りもしましたが、本来は共存しなければいけない場所のはずです。私は誘惑に負けたのを棚に上げ(すみません)、腹を立てました。また戦闘モードです。繰り返しますが、私はおとなしいモブです。
壁に塩をぶつけましたが効果ありません。病院なだけに一時的なものは無意味なのでしょう。ここでふと思い出したのがお札でした。
> すごいすごい、すごすぎる。
> お札が3Dだ。透明な水?の上に浮かび上がってくる。夢みてるみたい。
二十三時十六分に家人に送った私のメールです。
思いっきり稚拙な子供じみた言葉ですが、お札で周囲が変わり驚きました。
空気の圧が波のようになって浅い海のそれになりました。周囲は尖った蛍光色はなく淡いブルーに落ち着きます。
文字は少し薄くなったでしょうか。気にならない程度になりました。お札の文字は浮かび上がり、その周りは金色でコーティングされています。すごく暖かく優しい光でしたよ。
私はそのまま丑三つ時とされる刻まで書ききりました。
結論
その病院で悪霊と呼ばれるものに遭遇はありませんでしたが、承認欲求の高いものがいらっしゃいました。小説を書くと覗きに来る方が増えるようです。
塩、そして塗香は有効。
強いお札は特に。
塗香は後でPCと共に持って来てもらったものでお祓いというより汗臭さ消しのつもりだったんですけれど、効きました。白檀の香りです。
ちょっかいを掛けられたら、怖がらずに(心の中で)殴りましょう。強気は崩さないこと。悪霊には無効かも知れませんので出会わないことを日頃から祈っておくことが大事かも知れませんね(あぁ、私は痛い人ではありません・苦笑)
そして最初に謝っておくことは忘れないで下さい。入院という形ですが、彼・彼女らの場所に踏み込んだのはこちらです。
すべての霊魂様、お騒がせして申し訳ありません。そして速やかに成仏して下さい。
今回使ったものを載せておきますね。何か参考になるかも知れません。
なお私は家で真夜中ホラー書きの時は水晶を使っています。
書けることは日々感謝ですね。
読んでいただきありがとうございます。
この話の前編は「落ちて来たもの」になります。別に読まなくても話は通じると思います。
下にリンク張っておきました。