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雪と太陽  作者: やも
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第二話 吹雪の日

 風の音で起きた。おはようございます。天井を見ると雪が積もっていて外が見えない。夜の間に雪が降ったのかな。雪よどけろーと念じると氷窓の上の雪が動き、外が見えた。上を見ているのに空じゃなくて外と表現したのは、雪が降りしきり空が見えないから。それに強い風。これは吹雪だ。だから風の音がごうごう鳴っているんだなあ。

 お腹が減っていて気付いた。今までは空のほうから食べ物が降ってきたけれど今日はどうなるんだろう。家の中にも果物は出現するのか。試してみたら、ちゃんと口の中に果物が落ちてきた。こりゃあすごい。この謎の力がある限り生きていけそうだ。良かった。


 今日は何をしようかな。うーん。家をちゃんと作ろう。いまは、本当にただのかまくらで、雪のドームの中に小さな空間があるだけ。家の形を作って部屋を作ろう。と、その前に、よく考えたらここは赤子が捨てられるような場所で、人が歩いてくることのできる距離なんだよな。急に家ができていたら町?村?の人が驚くだろうし、この神様の力みたいなものの存在がばれて利用されたりしたら嫌だから、もっと山奥に移動しよう。

 そうと決まればかまくらを解体。幸い吹雪なので誰か人がいても気づかないだろう。痕跡もすぐに消えそう。ラッキー。赤ちゃんなので動けないけど、そこは神様が何とかしてくれるって信じよう。考えてる間に体がふわっと浮いて好きに移動できるようになった。本当に万能すぎる。

 とりあえず標高の高いところを目指そう。高いほうが人が昇るのに使う労力が高そうだし、人が寄り付かなそうだから。一度高く浮いてみる。あー、何となく位置関係が分かった。私がいたところから少し離れたところに町か村か人が住んでいそうな建物がいっぱいあるところがある。あそこからは離れておこう。適度に離れて、見つからなそうな山奥に移動した。

 よーしここが新天地。周りは雪ばっかりで全く環境は変わらないけど、良しとしましょう。ここに家を建てちゃうぞー!

 頭の中に設計図を描く。後で変えられるだろうと思うけど、もし神様に見放されてもう作れなくなったら嫌だから一応はちゃんと考える。建材は雪。いっぱい周りにあるから。

 間取りをしっかり考えないといけないけど、建築を学んだことはないからよくわからないな。まず必要なのは、玄関でしょ。そこから靴を脱ぐようなスペースがあって、リビングと、寝る部屋と、バスルーム、トイレを作った。頭の中でイメージすると雪が勝手に動いてくれるのですぐに完成した。作った家の中を浮いて移動しながら壁をまっすぐにしたり細かく調整をしていく。あ、リビングの天井は氷にしてきれいな星空が見えるようにしておこう。このように調整を繰り返し私の家が完成した。

 家の完成は本当に感動する。こんなに大きなものが完成したという達成感に、拠点ができた安心感もある。氷とか雪でできているのになぜか暖かい。

 ベッドルームには布団が欲しいと念じてみると、氷で作ったベッドの枠組みに布団がちゃんと乗っていた。住も手に入れとてもとても喜ばしい。

 さて、衣食住がそろった今、次にやるべきことは何だろう。そう、状況整理である。遅いかな?仕方ない。


 私の名前は…思い出せない。転生してるから?日本の記憶はある。今生の親にも名前を付けてもらえなかったので名前はいったん無しにしよう。えっと、日本で生まれ育ってた前世の私は死んで、記憶を持ったまま転生したんだろう。血のつながった父母は彫りの深い外国人顔だったから、多分、外国に生まれた。そして捨てられたけど、なぜか生きてる。それはこの願いをかなえてくれる力のおかげ。この力については考えてもわからないから考えるのはやめにしよう。

 話を戻して、私はどこの国に生まれたんだろう。赤ん坊を捨てるってかなりやばいよね。この国の法はどうなっているのか。私の生まれた町?村?が特殊なんだろうか。それに、言葉だ。間違いなく日本語じゃなかったのに意味が分かった。ラッキーだけど何故だろう。これも考えてもわからないか。

 まだ生後一日目。考えてもわからないことが多すぎるので何とも言えないが、生き延びた以上、できるところまで生きてみよう。そのためにはまず、生活環境を豊かにしなければ。QOLの向上を目指そう!


 目標が決まったので早速、服が欲しいと念じてみた。すると思い描いていたのとほぼ同じ服が出現。やったね!あとは、うーん。そうだ!お風呂に入ろう。氷で作ったのになぜか冷たくないバスタブに温かいお湯が満ちるよう想像する。お風呂の完成。あったかーい。きもちーい。シャンプーとかは赤ちゃんには刺激が強い気がするので念じるのはよしておこう。

 お風呂上りにはふわふわのバスタオルが欲しい。お願いします。出てきました。呼び出したバスタオルが私の想像通りに動き、優しく水滴を拭いてくれた。先ほど呼び出した服に着せてもらい、次はいつものご飯を食べる。すると、やることがなくなった。

 やることの無さに愕然とした。この家には娯楽がないし、食べ物は出てくる。赤ちゃんができることは食べて寝るだけなので何もやることがない。こんな時スマホがあれば…。

 …………あれ?いつもならこのタイミングでスマホが出てくるのに。え、神様に見放された?食べ物出てこい!出てきた!良かった!なのにスマホは出てこない。何故かしら。

 パソコンはどうだろう。…出てこない。電化製品はダメなのかなぁ。法則がよくわからない。暇つぶしがだめになったので、本当にどうしようか途方に暮れる。暇すぎるとは贅沢な悩みだなぁと我ながら思うが、本当に暇なのだから仕方ない。

 人里に降りて誰かとコミュニケーション取りたいなぁ。赤ちゃんなんだからみんな可愛がってくれるでしょ。でも赤ちゃんだから、何でここにいるのってなっちゃうよねぇ。

 あーあ、早く大きくなりたーい!せめて10歳くらいの体が欲しい!それまであと10年かかるのは絶望的すぎる!


!!!!!え!!?????

 体が大きくなってる!!!???!?神様は体を大きくしてくれるの!???!?電化製品は無しなのに、人間の体を成長させるのは良いの!??!?

自分の手のひらを眺めて大きくなっていることを実感する。足も伸びてる!服が小さいのでもう着ていられない。これはたぶん私が想像していたくらいの子供の大きさになっているのだろう。新たに服を取り寄せる。ワンピースを着て、氷でできた椅子に座り、一度落ち着こう。

いや、落ち着けないね!ピョンピョン跳ねたり声を出してみる。

「あーあーあーあーあー」

 これじゃ赤ちゃんの頃と変わらん。

「おおきくなってる?」

 大きくなってる!声出てる!ジャンプできる!声可愛いー!

 これは革命だ!体が動くって素晴らしい。これで人里に降りられる!でもあそこは子供が一人で行っても大丈夫な町かしら。もう一度ちゃんと考えよう。

 というかまずは私について確認しないと。鏡が欲しいな~?と考えれば目の前の机に鏡が出現。その鏡をのぞいた私は驚いた。絶世の美少女が映っていたからである。真っ白の肌真っ白の髪。真っ赤な虹彩にバラ色のほほと唇。スッと通った鼻筋に大きな瞳。それらが完ぺきなバランスで配置されている。驚いた顔をしているが美しすぎる少女だ。

「…これが、私…?」

 一度言ってみたかったセリフを言えた。美しすぎる私の顔に私は大満足である。これはずっと眺めていられるな。角度を変えながらじっと自分の顔を見る。確実に私好みの顔である。最高だ。こんな美しい顔が私のものだなんて、生まれたことに感謝した。

 じっくりと自分の顔を堪能し、気づいた。これはアルビノってやつかしら。顔のパーツが美しすぎてそこまで考えが及んでいなかったが、この配色はきっとそうだろう。皮膚癌とか心配だ。アルビノはほかにも免疫不全とかあるとも聞くし、だから捨てられちゃったのかなぁ。まぁ、美しいからいいか!


 美しい私をずっと見ているだけで夜になっていた。これは相当なナルシストだ。いつも通りの果物を食べて、お風呂入って寝ようかと考える。今日は一日中自分の顔を見ていたなぁ。

 いやいや、大きくなったのだから、もっと普通の食事ができるじゃん!雪山らしく、シチューとパンにココアとかどうですか。木の皿に入ったシチューらしきものと、木彫りのコップに入った暖かいココアらしきもの、パンはそのまま出てきた!おいしー!生まれてからずっと同じものを食べていたので、ほかのものを食べるのも楽しくて良いですな。

 食べ物と一緒に出てきた食器は再利用しようとキッチンで洗う。シンクっぽい場所で水をジャーっと出す想像をして汚れを洗い流す。汚れた水はどこかの川に流れてくださいと念じると消えた。


 またお風呂に入って今日は寝よう。お湯を入れなおし、今度はちゃんと髪と体を洗う。シャンプーとコンディショナー、ボディーソープは想像していた容器とはちょっと違ったけど、ちゃんと出てきた。あ、一気に成長したからか、私の真っ白な髪は現在お尻くらいまで伸びている。後で切ったほうがいいかなぁ。

 お風呂から上がり、体を拭いて、パジャマが欲しいと念じる。出てきたパジャマは、やわらかい素材でとても寝やすそうだ。髪を乾かすドライヤーが欲しいと思ったけどこれは出てこない。そっか、電化製品だもんね。じゃあ、髪の毛を乾かす風が吹いてくれー。ていうか、一瞬で髪の毛乾いてくれー。と思うと一瞬で髪が乾いた。楽だ。


 ベッドに入り、家を作って体が成長した。言葉にすればこんなにも短いが、ありえないことだらけだ。しかし、充実した一日だったと言えるだろう。神様ありがとう。おやすみなさい。


!!!!!!バン!!!!!!


 気持ちよく眠りに入ったというのに、家の近くで爆発のような音が聞こえた。なんぞや。どうせ今日はあと眠るだけだし、確認するか。


執筆ってすごく時間がかかりますね。この話を書くだけで100分かかりました。毎日更新している人とかすごい。

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