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走って走って風にひとあし

作者: 阿月美貴

くるくるくるくる。両手を羽に。


 走れ。走れ。走れ。走れ!


 わたしは走る。走りたくて走る。

 追い風が吹けば風に乗ったように、木の葉のようにくるくる回り。

 両手を広げ、翼のように。


 走る。走る。

 駆け足! 行進!

 何だって良い。

 楽しいのならそれで良い。

 大股に、韋駄天のように。

 走って、走って、走り続けて。

 アスファルトの上を、土の上を。階段を駆け下り、石段に乗り上げ、前方に注意、軸足まっすぐ一回転。


 誰の声など聞かぬ。

 くるくるくるくる、舞うのだ。

 ふふ。くふふ。ふふふ。

 ふいに笑う。笑う。笑いたいから。


 走る。走る。ひたすら走る。

 向かい風は避けて。

 手摺りはロープウェイ。滑り台。横転注意。


 風に乗って。大地を踏みしめ。水にぼっちゃん。

 暑いからしょうがない。

 水面に顔を出せば、陽の光がむわっと。でも、そよ風が心地良い。

 走ろう。走ろう。

 岸に上がって、額に張りつく前髪をかき上げて、屈伸、一、二、三。

 さあ!

 走って。走って。走る。走る。

 風に吹かれ、服があっという間に乾く。でもお腹が冷えてへっくしゅん! もう一度くしゃみ、ぶしゅっ。鼻を啜る。

 まあ、良い。こういうこともある。

 走れ。走れ。走れ。走れ。

 何も気にすることなどない。

 何人もわたしを遮ること能わぬ。障害なぞ、何するものぞ。


 走る。走る。走りたいから。

 風のように、韋駄天の如く、木の葉のように。

 両手を広げ、羽ばたけ翼。

 くるくる、くるくる。舞うように。


 私は走る。


お読みくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この文章を読んだとき、空色と制服を着た女の子がぶわっと頭に浮かびました。すがすがしい作品ありがとうございました。
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