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1.トリップ


 目が覚めると見知らぬ草原に立っていた。

 それまで何をしていたのか、記憶がほとんどない。

 多少記憶の欠落はあるようだが、もっと以前の知識はある。


 ※役者さんは二時間前に草原(げんば)入りをして準備をしています。記憶もあります



 もしかして異世界というやつだろうか?


 ※役者さんはこの世界の方です。本物の異世界人ではありません



 なぜ唐突にそう思ったのか──


 それは目の前にいる生き物が、ゲームの中でしか見たことがない『ゴブリン』というやつにそっくりだからだ。

 血走った眼、獰猛な牙、おおよそ理性や知性を感じさせない凶悪な相貌は、俺を狙っていることがまるわかりである。


 ※野生のゴブリンは比較的おとなしく、知性もあるモンスターです。物語上の演出です

 ※こちらのゴブリンは魔獣保護園からお借りしています



「クワァァァ!」


 ゴブリンは手に持った斧を振り回して俺に向かってきた。

 ……やらなきゃいけないのか。


 ※野生のゴブリンが斧を持っていることはほぼありえません。物語上の演出です



 振り下ろされた斧を半歩ずれて避けてカウンターに掌底を打ち込んだ。


天統(てんとう)流一式、躯砕打」



 ※この後グロテスクな表現が入りますので一部表現を伏せております





 手軽な技一発でゴブリンの□■から□■が□■□■□でしまった。

 思った以上に軟弱な生き物だったようだ。


 ※実際にはおこなっておりません。物語上の演出です

 ※魔獣保護法により王命やクエスト、緊急避難でもなく一般の方が野性の魔獣を駆除することは禁じられています



 やれやれ。

 思わず動いてしまったけれど、まさかこんなところで幼い頃から受けていた厳しい修業が役に立つとは思わなかった……。


 ※実際には数週間の殺陣に関する演技指導です



 天統流とはあらゆる武術に関する流派を倒し、「天下を統べる」武術として誕生した戦闘武術──それも敵を打ち倒すことのみに特化した武術だ。

 古き時代より密かに続き、俺もまた天統流の後継者として育てられていた。

 ときには手ぶらで山に籠もり、ときには荒れ狂う海で泳ぎ、ときには飲まず食わず休めずに数匹の熊と連戦をし……よくもグレずに育ったとものだと我ながら褒めてやりたい。


 ※そのようなオリジナル武術、オリジナル武芸(オリ武)は誕生していません

 ※役者さんは一般農家の出です。記載されているようなことはされておりません



 しかしそんな武術は普段の生活でほとんど意味はなく、モテずに子孫が残せなければ俺の代で終わりかな? などと思っていたのだが。

 芸は身を助けるとは、昔の人はうまいこと言ったもんだな。

 なんでも身につけておくものだ。


 ※実際にはそのような危険な武術は行えない役者さんです



「まったく、いったいなんなんだろう……」


 ゴブリンの返り血を拭きながら、何気なしに体から斧を取り上げる。

 何の変哲もない斧……だよな?


 【ゴブリンの斧 …… 粗悪品の斧だ】


 突然そんな文章が目の前に出現した。驚いて斧を落とすと文章は消える。

 もう一度持ってみたが今度は出てこなかった。

 ふむ。これは斧、だよな? と、疑問を持つと再度文章が出てきた。


 ※実際には市販されている斧です。物語上の演出です

 ※記載されている文章はイメージです



 なるほど。

 一呼吸置いて冷静さを取り戻してみれば、なんてことはない。


 ※アドリブも危険もないので冷静です



 俺が疑問に思うと、対象に関する情報が文章として出現するようだ。

 その証拠にゴブリンを見て「なんだ?」と考えれば文章が出る。


 ※実際には出ていません。物語上の演出です



「ここが異世界ってのは理解してきたが……そうなると、俺自身にも説明が表示できるはず。……だな?」




 名前    :(あかつき) 進人(すすむ)


 種族    :人間


 第一職業  :なし


 第二職業  :なし


 修得技術  :サバイバル技術階級3 / 空きスロット 残り11 / ☆天統流武術八式 / ☆異世界言語


 修得能力  :空きスロット 残り6 / ☆真慧眼(しんえがん)



 予想通りに出現してくれた。

 これが俺のステータス、なのだろう。


 ※記載されている名前は役名です

 ※記載されている文章はイメージです



 空きが多いな。

 何か覚えられるってことなんだろうけど。


 ここにいるとまたゴブリンに襲われるかもしれない。

 とりあえず、人が多くいそうな場所を探してみよう。


 ※この区域に人を襲うゴブリンはいません




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